特集大学発ベンチャー表彰2017

大学発ベンチャー表彰2017 
文部科学大臣賞にPKSHA Technology、経済産業大臣賞にティエムファクトリ

国立研究開発法人科学技術振興機構 産学共同開発部 起業支援室 調査役 朝賀 克栄

2017年10月15日

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国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は「大学発ベンチャー表彰2017」の受賞者を決定し、8月31日に東京ビッグサイトにおいて、林芳正文部科学大臣、および大串正樹経済産業大臣政務官ご臨席の下、表彰式を行った。受賞者は会場に入りきらないほどの多数の参加者より熱い祝福を受けた。

大学発ベンチャー表彰制度は平成26(2014)年度に創設され、今回は第4回目となる。大学等*1の成果を活用して起業したベンチャーのうち、今後の活躍が期待される優れた大学発ベンチャーと、特にその成長に寄与した大学や企業などを併せて表彰することで、大学等における研究開発成果を用いた起業および起業後の挑戦的な取り組みや、大学や企業などから大学発ベンチャーへの支援や協力がより一層促進されることを目指している。また今年度より、創業間もない若手起業家のエンカレッジを目的に、「アーリーエッジ賞」を新設した。

今年度の応募総数は53社(前年度比+9社)。外部専門家で構成された選考委員会による書面選考、面接選考を経て六つのベンチャーが受賞となった。

文部科学大臣賞はPKSHA Technology。さまざまな大学の研究室の知恵を結集し、人工知能領域のアルゴリズムサプライヤーとして各領域のトップ企業へアルゴリズムを提供して急速に成長しており、今後グローバルな活躍が大いに期待できる点が評価された。

大学発ベンチャー表彰2017 受賞者(敬称略)

経済産業大臣賞はティエムファクトリ。同社の透明断熱材エアロゲルは、応用範囲が広く、素材ベンチャーとしてのポテンシャルは非常に高い。今後支援企業との協業により社会に実装されればそのインパクトは大きく、世界的な活躍が期待できる点が評価された。

JST理事長賞はサイフューズ。独自の細胞積層技術を有し、さまざまな大学と協力して複数の再生医療製品の導出に向けて研究開発を進捗させている。今後再生医療市場における広く基盤的な技術として普及し、大きなインパクトの創出が期待される。

NEDO理事長賞はFLOSFIA。独自技術により世界で初めて酸化ガリウムの単結晶を実現し、超低損失、低コストなパワーデバイスの実用化を目指している。電化製品から車載機器までその応用可能性は非常に広く、今後の成長が期待される。

日本ベンチャー学会会長賞はORTHOREBIRTH。独自技術を用いた綿形状人工骨を米国で先行して実用化を行うなど思い切った戦略を着実に実現しており、今後、世界市場への展開により大きな成長が期待される。

アーリーエッジ賞はLily MedTech。既存の乳がん検査の課題を克服しうる社会的意義の高い製品の実用化を目指して、スピード感のある事業展開を行っている。

選考委員会の委員長である松田修一氏(早稲田大学名誉教授)は、今回の選考について以下のように講評している。

受賞した6社とも、日本で生まれ世界で活躍するボーン・グローバル・ベンチャーとして、日本の産業構造変革の担い手になる可能性を持っていると確信している。また、今回受賞対象にならなかったベンチャー企業であっても、ぜひ来年も挑戦してほしい。

「技術に勝ってビジネスに負けた」といわれて久しい日本だが、大学や研究機関の研究成果をもとに、シードアクセラレ-ター機能を持ったベンチャーキャピタルや大企業とのWin-Win連携で新たな産業構造を再構築していくことを、審査委員会一同期待している。

大学発ベンチャーが創出され、成長し、社会にイノベーションもたらすまでの過程においては、産学官による息の長い支援が必要である。本表彰制度が、そうした支援体制のより一層の整備のための一助になれば幸いである。

*1:
国公私立大学、高等専門学校、国公立試験研究機関、国立研究開発法人、公益法人などの非営利法人を指す。
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