視点

製造業集積地ロサンゼルス、ベンチャー企業集積地シリコンバレーにて

一般財団法人浅間リサーチエクステンションセンター(AREC)センター長、専務理事/信州大学繊維学部 特任教授(産学官地域連携) 岡田 基幸

2016年5月15日

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心臓人工弁の製造分野で世界一のエドワーズライフサイエンス社(米国カリフォルニア州アーバイン)では、弁の縫製作業に掛かるシニア作業者がフロアに多数在籍し、ハイテク製品を高齢の技能者集団の力が支えている。また、故松下幸之助氏のお孫さんがCEO(最高経営責任者)を務める企業も訪問した。車両の風洞作製技術を基に、航空宇宙産業界へ進出。社長は米国人で、経営理念、人材の重要性などは、実に松下電器(National・現パナソニック)っぽい。雇用面ではドライな印象が強い米国企業だったが必ずしもそうではない。また、シリコンバレーでは、「ウーバー」や「テスラ」など、破壊的イノベーションの一端に触れた。

さて、わが国「日本」。起業支援として、一時的な補助金や低金利の融資が実施されているが、それらが行政の第一義の仕事ではない。今の日本は、良くも悪くも規制で縛られ、若者の自由な発想が生まれにくい。ここが、シリコンバレーとの大きな違いだ。決して、米国の構想力に日本が負けているわけではない。規制緩和による市場開放や市町村による特区創設などで、活躍の土俵だけは大きくすべきだ。一方、イノベーションを興す起業家は、日本に何百万人も必要ではなく、それよりも、真面目で力強く、欠けない組織の歯車こそが産業振興の根幹だとも感じる。