イノベーション・ジャパン2020~大学見本市Online > Withコロナ特集-九州大学のオリジナルカイコで生産が難しかったタンパク質の生産システムを確立

九州大学のオリジナルカイコで
生産が難しかったタンパク質の生産システムを確立

カイコイメージ

新型コロナウイルスの組み換えウイルス抗原・組み換え抗ウイルス抗体の開発に成功し、抗体検査キットの開発にも着手。
今後量産体制を確立、ワクチンへの展開も目指し共同で開発に取り組む製薬企業を探索中!

STARTからSUCCESSへ JSTが継続支援

カイコイメージ 令和2年5月、JSTは出資型新事業創出支援プログラム(SUCCESS)において、KAICO株式会社への出資を実行しました。
KAICO社は九州大学農学部と工学部の技術を基にした大学発ベンチャーです。これまで生産が難しかったタンパク質の生産システムを確立すべく、九州大学のオリジナルカイコを用い、タンパク質の修飾技術と組みあわせることにより、再生医療用試薬・体外診断薬・ワクチンなどの生産・販売を目指しています。
JSTは、平成27年度に大学発新産業創出プログラム(START)において九州大学の研究課題を採択【※1】、プロジェクト内でカイコの体内でたんぱく質を高効率に発現できる組み換えバキュロウイルスを開発し、九州大学で100年にわたって系統を維持しているカイコの中から特にウイルス感受性の高い系統を組みあわせることによって難発現性のたんぱく質を短時間で高確率に産生できるようになりました。
KAICO社は九州大学からこれらの技術シーズについて技術移転およびライセンスを受け、平成30年4月の設立以降さらに研究開発を進めており、JSTは本年、本研究成果を実用化し社会へ還元するため出資型新事業創出支援プログラム(SUCCESS)での継続支援を決定しました。

KAICO社の挑戦は、新型コロナウイルスへ

カイコイメージ KAICO社は主に再生医療用サイトカインなど10種以上を研究用たんぱく質試薬としてすでに上市し、複数のウイルスについてワクチンの原料となり得るウイルス様粒子(VLP)の作成を行っています。
短期間に高効率で難発現性たんぱく質を発現できる特徴を生かし、たんぱく質の発現を受託するサービスや、発現したたんぱく質を試薬、診断薬、医薬品原料として研究機関や製薬企業に提供していくことで健康社会の実現へ寄与していくことを目指し挑戦を続けています。
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技術の解説:目的タンパク質DNAをバキュロウイルスに挿入し、このバキュロウイルスをカイコ体内に注入することにより、ウイルスの増殖に従い目的タンパク質が発現されます。発現された目的タンパク質を体内から回収・精製します。

カイコイメージ 現在、九州大学と共同で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の組み換えウイルス抗原(抗原Sプロテイン三量体)の開発、更に、組み換え抗ウイルス抗体の開発に成功しました。抗原Sプロテインについては複数の抗体との結合も確認し、すでにパートナー企業と抗体検査キットの開発に着手しています。
今後ワクチンへの展開も目指して量産体制を確立し、共同で開発に取り組む製薬企業の探索を行っており、期待が高まっています。
◀KAICO社の皆さま
向かって左より戸金氏(研究員)・谷口氏(開発・営業)・中武氏(生産)・日下部氏(教授)・大和氏(代表取締役)

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KAICO社の皆さまと福岡市高島市長▶
向かって左から
後列:朝倉氏(研究員)・大和氏(代表取締役)・高島市長・日下部氏(教授)・飯山氏(研究員)・近田氏(事務)
前列:中武氏(生産)・谷口氏(開発・営業)

KAICO社代表取締役大和氏よりコメント
カイコの餌は桑の葉だけなので、本事業が伸長につれ桑園を増やします。医薬品生産という工業でありながらもCO2を削減可能な本事業の応援よろしくお願い致します
※1:平成27年度大学発新産業創出プログラム(START)で採択された、KAICO社設立につながった採択課題「オンリーワンカイコバイオリソースと昆虫工場を用いた難発現性タンパク質の大量生産システム」

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