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モデル化の概要および成果 |
魚介類内蔵(ホタテウロ、イカゴロ等)には高レベルのカドミウム等の重金属が含まれているが、これが加工残滓として破棄され社会問題となっている。この解決手段として電解法によるカドミウム等の重金属除去技術を開発したが、溶液中の油分、蛋白質が障害となり電解時間が長く、電力消費量が多くランニングコストを高めている。
本モデル化では、果実搾汁残滓を原料とした重金属吸着剤を開発し、ホタテウロ中の重金属を連続的に除去・回収する装置を試作した。装置による処理プロセスは以下の 〜 である。
ホタテウロの酸処理により重金属を溶出する⇒ ホタテウロ等の固体分と、重金属の溶出溶液を分離する⇒ pH調整の後、溶液に吸着剤を投入して、重金属を吸着する⇒ 重金属を吸着した吸着剤を溶液から分離する(溶液は再利用)⇒ 吸着剤から重金属を抽出する(吸着剤は再使用の後、肥料化を予定)⇒ 抽出液を電気分解して重金属を回収する
この装置では、従来からの課題であった の電解処理における抽出液中の油分・蛋白質等を除去することに成功し、電解を阻害する物質がほとんど無くなったため従来法に比較し電力消費量を1/10以下にすることが出来た。
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2 ) |
事後評価 |
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モデル化目標の達成度
魚介内蔵カドミウムの電解除去法の前処理装置の試作である。同社はH11課題でも採用され本モデル化はその改良であるが、ミカン残渣吸着剤は脂肪やタンパクの吸着も行い、前回に問題となっていた溶液混濁が大幅に改善され、固液分離処理が容易となった。吸着剤のpH特性等まだ問題点はあるが解決の可能性は十分ある。 |
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知的財産権等の発生
吸着剤に関する特許申請を検討中。脱水装置についても出願予定。 |
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企業化開発の可能性
溶出、吸着、固液分離、電解等の個々の工程については満足できるレベルである。システムの組み方を検討すれば実用化レベルに達すると思われる。 |
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新産業、新事業創出の期待度
重金属除去技術は社会ニーズが高く、現状カドミウム処理の方法がないため、事業化成功時には大きな成果となるだろう。吸着剤の混濁物吸着性能を利用した今後の展開が期待できる。 |
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3 ) |
評価のまとめ |
前回モデル化の問題点は、今回の吸着剤の採用によりほぼ解決されたと思われる。事業化の可能性は大きいと考えられるが、総合的な技術として確立するためには、同社技術だけでなく、他者の技術導入が必要と思われる。
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