JSTは、平成23年3月に国立大学法人大阪大学(大学)から提出を受けた「大阪大学医学系研究科における研究費の不正使用に関する調査報告書」等に基づき、その内容を精査するとともに、JSTが直接執行した経費についても調査した結果、大学に研究委託したJST事業に係る研究費の執行において一部で不適正な経理処理があったほか、直執行分による経費の一部で不適正な経理処理を確認しました。
これを受け、JSTでは、大学及び大学の研究者に対して、以下2.の措置を講じております。
1.不適正な経理処理の内容
調査の結果、次に掲げるJST事業に参画していた大学の研究者2名が、不適正な経理処理に関与していました。なお、私的流用はありませんでした。
- (1)社会技術研究開発事業
- ①社会技術研究開発事業の大学に対する委託研究費において、大学の医学系研究科の研究者2名が、平成16~21年度(17年度を除く)、物品等の購入や任期付き研究者の給与の支払いに関して架空請求と預け金により、研究費の不適正な使用を行っていたことを確認しました。
不適正な研究費総額は、6,690,882円(直接経費)でした。研究者 事業名 不適正研究費等 医学系研究科特任教授
医学系研究科助教平成16年度、18年度及び19年度の社会技術研究開発事業(物品等) 5,848,126 円 医学系研究科特任教授 平成20年度と21年度の社会技術研究開発事業(給与の支払い) 842,756 円 合 計 6,690,882 円
②JSTが、直接研究者に支払った大学の研究者1名の旅費に関して、平成16年度から20年度で、大学から支払われている旅費と重複等していたことを確認しました。JST支払い分で重複等していた旅費総額は、234,110円でした。
2.措置の内容
- (1)研究費等の返還
- 大学に対し、不適正な経理処理により支払われた研究費について、当該研究費(直接経費)、当該研究費に係る間接経費及び遅延損害金(年5%)の合計金額の返還を求め、返還されました。
また、研究者1名に対して、重複して支払われた旅費と遅延損害金(年5%)との合計金額の返還を求め、返還されました。
- (2)申請等資格停止
- 大学の研究者2名に対して、JSTの全事業への申請資格及び新たに共同研究者として参加する資格を平成23年度から4年間停止します。
- (3)厳重注意と再発防止策の徹底
- 本件は極めて遺憾であり、こうした事態を招いたことにつき厳重注意するとともに、かかる事態が再発しないよう大学の研究者等への周知徹底を図るなど再発防止策を完全に実施するよう大学に対して要請しました。
なお、JSTが、直接研究者に支払った旅費で重複があった研究者1名に対して、厳重注意を行いました。
- (4)その他
- 本件で措置された上記(2)の応募等の申請等制限については、文部科学省へ通知を行いました。