初代創発PO研究体制

創発研究者(2022年度採択)

や行

矢木 宏和

塩見(美)パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

タンパク質に組み込まれた糖鎖修飾コードの解明と糖鎖修飾制御
糖タンパク質は、タンパク質部分と糖鎖部分から構成されています。タンパク質部分は、遺伝子の情報を設計図として合成される一方で、糖鎖部分に関しては、設計図の存在が明らかとなっていません。本研究では、基質タンパク質に組み込まれた分子コード(アミノ酸配列)により、糖鎖修飾が制御されているという仮説のもと、基質分子の中に存在する糖鎖修飾コードを見出し、その糖鎖制御メカニズムを明らかにすることを目指します。

焼野 藍子

井村パネル

物体表面の超層的流体科学による次世代輸送機革新
超音速機や電動航空機をはじめとする次世代輸送機開発では、競合他社を凌駕する機体実現のため、既存知見の延長線上にない革新的技術の実用化が喫緊の課題です。そこで私は、高速移動物体表面の帯電やナノ粗さ影響を受ける気体分子運動、マイクロ粗さ影響を受ける乱流渦をモデル化し評価することで、 輸送機本体の性能を飛躍的に向上する多機能表面性状を新提案していく「ナノ(気体分子運動)〜マイクロ(乱流渦)〜マクロ(輸送機)」の超層的流体科学を切り拓きたいと考えています。

矢崎 亮

伊丹/福島パネル

非天然α-アミノ酸が拓くコンパクトペプチドワールド創発
タンパク質は複雑で精密な立体制御を行うことで、生命にとって重要な機能を果たしていることが知られています。本研究では、独自の非天然アミノ酸の合成法の開発を基盤として、コンパクトなペプチドの創成を行います。独自の合成・解析・連結技術を集積させることで、機能を有するコンパクトなタンパク質の完全人工合成の基盤技術の確立に挑戦します。

安居 佑季子

塩見(美)パネル

陸上植物の単相世代における有性生殖システムの進化
陸上植物進化の基部で分岐したコケ植物タイ類アカゼニゴケは、高山などに生息する雌雄同株の植物で、その性分化は季節依存的です。本研究では、タイ類のモデル植物であり雌雄異株であるゼニゴケとの比較から、雌雄同株誕生に伴う性染色体進化の過程と、アカゼニゴケが獲得した環境に応答した性分化システムを解き明かします。本研究の成果は、生物に共通した性の進化への理解と植物の新規の環境応答機構の発見に繋がると期待できます。

安川 和孝

吉田パネル

顕生代海洋における堆積性レアメタル鉱床生成史の解明
本研究では、世界中の深海堆積物の化学分析に基づき、レアアースやコバルトなど産業上重要なレアメタルの海底への沈積速度を明らかにします。さらに、海洋の元素質量収支モデルによる数値計算と実際の堆積物のデータを統合して考察することで、大規模な堆積性レアメタル鉱床がいつ生成し、現在地球上のどこに存在しうるかを理論的に解明します。以上により、低炭素社会の実現に不可欠なレアメタルの画期的な探査指針の構築を目指します。

安田 浩之

天谷パネル

非癌肺オルガノイドを用いた発癌プロセス本態解明と先制医療への応用
近年の進歩を遂げた医療をもっても、一旦癌を発症すると多くの患者が癌によって死亡します。癌医療を飛躍的に改善するには、癌発症前の予防や治療介入といった先制医療開発が必要です。そのためには発癌に至る発癌プロセスを分子レベルで理解することが必須です。本研究では、肺癌に注目し、独自の非癌肺細胞オルガノイド培養技術を用いて、年齢や発癌因子暴露によって細胞が分子異常を蓄積し発癌に至る分子機構を解明します。

安間 太郎

天谷パネル

細菌叢由来ペプチドに着目した糖尿病における心腎連関メカニズムの解明
近年、糖尿病患者では腎臓、心臓の両方に『線維化』が起こることが分かってきましたが、それを抑える治療法はありません。我々は、細菌が放出する物質corisinが、肺の線維化を悪化させることを世界で初めて発見しました。corisinが糖尿病患者で起こる腎臓・心臓の線維化にも関わり、その働きを抑えることにより治療につながる可能性があります。本研究は、これらを解明し、新たな治療法を確立することを目指します。

簗取 いずみ

水島パネル

鉄毒性制御による老化進行抑制、疾患予防への挑戦
鉄は酸化還元反応を触媒する酵素の活性中心として機能する必須金属ですが、過剰量存在すると毒性を発揮し、鉄依存的な細胞死=フェロトーシスを誘発します。本研究では、過剰鉄が誘発するフェロトーシス機序の解明に取り組みます。また、多くの生物では加齢に伴い鉄蓄積を引き起こし、疾患や老化を促進することが報告されています。私は、鉄代謝に着目し、フェロトーシス制御による新たな疾患予防や老化細胞特異的除去の開発に挑戦します。

山中 聡士

水島パネル

動物界における生体内タンパク質分解誘導分子の発見
狙った標的タンパク質を分解するタンパク質分解誘導分子は、新たな創薬アプローチとして世界中で精力的に研究・開発が行われています。一方で、植物ホルモンのような生体内タンパク質分解誘導分子は生理学的に極めて重要な機能を果たしていますが、動物細胞においてそのような分子の報告例はありません。本研究では、試験管内、細胞内、生体内の相互作用解析技術を駆使することで動物界における生体内タンパク質分解誘導分子の発見を目指します。

山本 真也

石塚パネル

内集団・外集団の形成メカニズムと集団心理の進化・発達
ヒトは協力し平和な社会を築くこともできれば、戦争のような悲劇も生み出してしまいます。このような両極端な性質の進化的基盤に、比較認知科学的手法でアプローチします。敵対的な集団間関係を築くチンパンジーと寛容なボノボ、ヒト社会の特徴である重層社会の萌芽をみせるウマなど、多様な動物種を対象に、内集団・外集団の形成過程や集団心理のメカニズムを生理・認知・行動・社会・生態レベルから多層的に明らかにします。

由良 義充

天谷パネル

クローン性造血を介した加齢性心血管病の病態解明
私たちの骨髄には血液細胞の源となる造血幹細胞が存在しますが、歳をとるにつれて遺伝子の異常をもった造血幹細胞が増えることが知られています。この状態はクローン性造血と呼ばれますが、近年になって心血管病の原因となるという驚くべき知見が報告されました。本研究ではクローン性造血に着目して、未解明の心血管病の仕組みを解き明かし、将来の診断・治療にイノベーションを起こすことを目標とします。

吉井 和佳

八木パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

ニューラルタイムマシン:時空間視聴覚場の分析合成系
本研究では、 視聴覚情報記録メディアの究極形として 、 自らの視聴覚を通じた過去の高臨場体験に加えて 、過去への干渉 (「 たら 」 「 れば 」) を可能にするタイムマシンを実現します 。 その技術的な核心は 、 駆動源まで還元された時空間視聴覚場の分析合成系であり 、 拡張現実スマートグラスを用いて 、 過去にその場に存在した人 ・ 物体との自由視点リアルタイムインタラクションを実現します 。 この技術により 、 過去をリソースとする次世代エンターテインメントの創出を 目指します 。

吉野 大輔

井村パネル

プラズマ電荷制御によるタンパク質分子状態の自在操作
本研究では、低温プラズマがつくる複雑な反応流動場が可能にするタンパク質の分子内結合への電荷の輸送を制御し、タンパク質の立体構造や分子状態を直接操作して、その機能を思い通りに制御する技術の開発に挑戦します。新たな分子設計を必要としないタンパク質機能の制御を実現することで、バイオマテリアル、難病治療、創薬、ドラッグデリバリーへ貢献可能な新たな研究領域「プラズマ生化学」を創成します。

吉原 弘祐

天谷パネル

3次元分子病理学による子宮内膜関連疾患の病態解明
子宮内膜は、周期的に再生と剥脱を繰り返す臓器で、子宮内膜がんをはじめとしたさまざまな病気の起源と考えられています。子宮内膜に対して、独自の透明化技術を用いた3次元構造解析と網羅的な遺伝子解析を組み合わせることで、子宮内膜関連疾患の原因の解明を進めています。子宮内膜を端緒として3次元分子病理学を確立することで、新しい視点で様々な病気の原因を明らかにしていきます。

吉原 利典

田中パネル

運動不足が世代を超えて伝播する分子メカニズムの解明
運動不足は生活習慣病や加齢性疾患の進行と密接に関わる喫緊の課題であると同時に、子や孫の将来の健康リスクにも繋がる可能性があります。本研究は、妊娠以前の両親の運動不足が後天的な遺伝情報として、次世代の子どもに伝播される仕組みを解き明かすことで、真に実用的な健康対策の研究・開発に取り組みます。本邦においてこれまで存在しなかった「世代を超えた生涯に渡る健康対策」を実現することが本研究の目指す未来です。

吉村 柾彦

阿部パネル

細胞模倣マテリアルによる物質生産テクノロジー
本研究では、有機合成化学、タンパク質工学、核酸化学を総動員した「ものづくり」により、細胞を模倣したマテリアルを創出することで、新しい物質生産テクノロジーを開発します。これまでの有機合成化学とも、合成生物学とも異なる新たな物質生産技術を開発することで、複雑な構造を有する有用分子群の効率的な合成を目指します。複数標的の中でも、多様な生理活性をもつ植物二次代謝産物の生産に強い関心を寄せています。

米山 香織

阿部パネル

植物-植物コミュニケーションにおけるストリゴラクトンの機能解析
ストリゴラクトン (SL)は、陸上植物の80%以上が共生するアーバスキュラー菌根(AM)菌を呼び寄せ、植物体内では地上部枝分かれを抑制します。一般的に植物は、リン酸欠乏条件下で、SLの生産・分泌量を促進し、AM菌から効率的に無機養分を得ると同時に、枝分かれを抑えてエネルギーを節約します。本研究は、植物がどのようにSLを介して自己と他者を認識しているのかを明らかにすることを目的としています。

創発研究者(2022年度採択)

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