初代創発PO研究体制

創発研究者(2022年度採択)

た行

高草木 洋一

超偏極−核磁気共鳴法で創発する未病の科学と代謝診断治療学
分子代謝は生命活動に必要なエネルギーを産生する根源的な仕組みであり、その異常をいち早く検知することは、発症の未然防止や早期診断に直結します。本研究では、NMR/MRI の高感度化技術である超偏極を応用開発し、分子代謝の直接観測に基づく未病の見える化と未病ケアの創成に挑戦します。これを踏まえ、疾患の発症前や発症の超早期に正常化することを目指した、人生 100 年時代に相応しい医療のカタチを追究します。

髙田 昌嗣

吉田パネル

リグニン高次構造の解明と革新的発光材料の創製
木質バイオマス資源の主要な細胞壁構成成分であるリグニンは、地球上で最も賦存量の多い天然芳香族高分子であるにもかかわらず、その複雑で不均一な化学構造が原因で十分に活用されていません。本研究では、光らなくなる(消光)という発光材料研究の「影」に着目することで、リグニン高次構造の理解を通じた、「リグニン三次元ナノ構造の解明」と「リグニンからの革新的高機能発光材料の創製」という二大課題に挑みます。

高野 愛

水島パネル

マダニ臓器間における病原体許容能力の解明
致死率の高い感染症を含め、数多くの病原体を媒介するマダニについて、臓器・細胞集団毎に生物学的に特徴の異なる細胞(群)を分離し、分子生物学的に新たな特徴を明確にします。さらに、それぞれの細胞群について、病原体に対する許容力や、病原体感染時の細胞動態を解明することで、未だ不明な点の多いマダニ体内における病原体の長期維持メカニズムの一端を明らかにすることを目標としています。

高野 晴子

天谷パネル

血管内皮細胞を基軸としたメカニカルシグナルによる肺胞形成メカニズムの解明
肺胞の脱落により不可逆的変化が生じる肺疾患への根治療法として、肺胞再生治療の開発が期待されています。しかし肺は極めて複雑な組織であるため、肺胞の発生/再生機序の多くが未解明です。本研究では、私達の独自の研究成果をもとに「肺胞の毛細血管を基軸とするメカニカルシグナル」に着目し、これら課題を解明していきます。本研究により「肺胞特異的な毛細血管内皮細胞」を応用した革新的な肺胞再生治療法の開発を目指します。

高橋 駿

北川パネル

半導体カイラルフォトニック結晶を用いた無偏極下でのスピン流生成とその応用
三次元ナノ構造の作製手法を駆使することで、カイラリティを有するフォトニック結晶を半導体で作製し、円偏光を介して、無磁場・無偏極下で光エネルギーをスピン流に変換することを目的としています。さらに、このスピン偏極を応用し、将来の量子情報ネットワークを構築する上で不可欠な量子インターフェースに向けて、強磁性体を導入したカイラルフォトニック結晶におけるマイクロ波と光の高効率な変換を目指します。

高橋 佑弥

堀パネル

コンクリート構造物性能評価のDXによる革新的維持管理/設計
本研究は、多様なステークホルダーにより蓄積されるインフラ構造物の管理・点検データを統合して自動生成された入力を用いて、コンクリート構造物のありのままの化学-物理挙動を予測するライフスパンシミュレーションを実施し、性能評価結果を提示することに取り組みます。データプラットフォームを利用するなどして、開発シミュレーション技術を管理主体の特性に応じて維持管理/設計に実装することに取り組みます。

高道 慎之介

八木パネル

計算機が人間に准ずるための音声認識合成技術
本研究は、人間に准ずる存在として計算機を実装するための音声認識合成技術です。そのような存在の実現には、人間と同じように計算機が喋り泣き笑う音声合成技術と、逆に人間のそれらを認識する音声認識技術が必要です。本研究では、そのための音声デザイン、機械学習、共通基盤データベースについて研究開発します。

宝田 剛志

田中パネル

四肢ヒト化マウスの開発によるがん研究のイノベーション
私は、「ヒト多能性幹細胞」×「がん研究(肉腫)」×「生殖工学(胚盤胞補完法)」といった、全く別々の分野の取り組みを融合させ、四肢ヒト化マウスを作製し、移植によらない同所性のヒト肉腫モデルを開発します。肉腫の起源が十分に解明されていないばかりか、マウス・ヒトのキメラ動物の作製成功例はなく、極めて挑戦性が高いが、これが成功すれば、臓器別ヒト化マウスによる同所性ヒトがんモデルの開発につながることが期待されます。

武田 俊太郎

北川パネル

光量子技術の汎用化による量子アプリケーション創出
本研究では、私が開発してきた世界唯一の光量子コンピュータ技術を様々な用途に使いやすい形に汎用化・パッケージ化し、あらゆる分野へ光量子技術を導入する障壁を撤廃します。これにより光量子技術のユーザの幅と応用可能性を劇的に広げ、計算・計測・通信など多彩な量子アプリケーションの実用化を促進します。さらに、それら全てのアプリケーションを統合・連携した光量子融合プラットフォームを実現し、光量子イノベーションを誘起することを狙います。

竹俣 直道

塩見(美)パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

アーキアがもつ始原的クロマチン構造の理解と操作に向けて
我々真核生物の起源となった原核生物群「アーキア」は、真核生物ゲノムの制御を司るクロマチンという構造のプロトタイプをもつことが示唆されています。本研究は、アーキアがもつ始原的クロマチンの構造と機能を解明することで、クロマチンの進化に迫ることを目指します。また、クロマチンの人為的制御を介してアーキアゲノムを操作することで、アーキアがもつ極限環境耐性や独自の代謝経路の強化・応用を目指します。

田﨑 英祐

社会性昆虫モデルを用いた長寿代謝機構の多階層的理解
社会性昆虫であるシロアリの王と女王は、圧倒的な長寿と多産を両立する新しい長寿命生物モデルです。本研究では、彼らの活動的⻑寿を可能にする多階層的な代謝機構の実態を解明し、生命システムに対して負荷の大きい代謝経路および負荷の小さい代謝経路の特定を目指します。これらの知見は、生物の老化や寿命を制御する代謝機構の新たな知を創出するだけでなく、健康寿命の延伸に関する医学・健康科学分野への応用も期待されます。

田島 健

天谷パネル

可逆性分化モデルによる腫瘍内不均一性の解明と薬剤耐性克服
抗がん剤耐性は悪性腫瘍の根治を阻む最大の難題かつ障壁です。悪性腫瘍では、腫瘍内不均一性が形成され、この不均一性こそ薬剤耐性の根本的な原因として考えられています。その形成には可塑性をもつエピジェネティクスの関与が想定され、シングルセルマルチオミクス解析ならびに組織透明化技術を駆使することで、腫瘍内不均一性のメカニズムの解明、薬剤耐性回避や解除、新たな創薬の標的同定と革新的な治療薬の創出を目指します。

田尻 怜子

塩見(美)パネル

多彩な昆虫クチクラの普遍的な構築原理の解明
昆虫のクチクラ(体を覆う殻)は、普遍的な階層構造をベースとして実に多彩な性質~甲虫のクチクラの硬さ、タマムシのクチクラの鮮やかな“玉虫色”、等々~を示します。本研究ではそのベースとなる構造をつくりだす分子レベルの原理の解明を目指します。昆虫が持つ緻密かつ立体的な構造構築技術の原理を理解することは、昆虫の多様性を支える物質的基盤を理解することであり、新たな材料技術のシーズにもなると考えます。

田中 茂幸

阿部パネル

植物病原菌エフェクタータンパク質輸送機構の分子基盤
持続的な食糧生産に被害を与える植物病原糸状菌は、エフェクタータンパク質と呼ばれる物質を植物細胞に送り込み寄生を確立します。しかし、エフェクタータンパク質が植物細胞膜を通過する輸送機構の実態は未解明です。私はこれまで、エフェクタータンパク質が細胞外小胞を介して分泌されることを明らかにしました。本研究では、細胞外小胞が植物細胞に取り込まれるために必要な分子の同定に挑戦し、これを阻害する防除薬剤の創出を目指します。

田中 貴

石塚パネル)※2024年1月卒業

On-farm experimentationによる農学研究の転換
On-farm experimentation(農家圃場における栽培の試行錯誤)を実践する農家ネットワークを構築し、農家間や他のステークホルダーとのデータ共有・解析プラットフォームを確立させます。国内のみならず、海外で収集されるビックデータも対象に網羅的な解析を実施することによって、不確定な要素から影響を受けやすい農家圃場のデータ解析手法を確立し、現場で科学する新たな農学研究の基盤を創出します。

田中 正樹

北川パネル

超高秩序有機アモルファス形成と機能開拓
非晶質(アモルファス)有機薄膜は分子位置に関する長距離秩序がない“無秩序な分子堆積膜”とみなされてきましたが、分子配向制御などにより様々な機能を付与できることが明らかになってきました。本研究では、分子秩序の精密制御により超高秩序アモルファスを創製し、従来の無秩序構造に埋もれている未踏機能の開拓および固体物性・デバイス物理に関する新たな学理を構築します。

田中 愛

天谷パネル

血管の恒常性制御により癌転移を抑制する、新規モダリティの創出
現在、癌の転移を抑制する方法はありません。本研究では、生理活性ペプチド:アドレノメデュリン(AM) と、その受容体活性調節タンパク:RAMPによる血管・リンパ管の恒常性維持機構と、その破綻による癌転移促進との関連を解明します。従来の治療法の様に癌細胞だけに注目するのではなく、原発巣と転移巣、それをつなぐ血管、リンパ管を一つの生体システムとして捉える新しいコンセプトから、革新的な癌転移抑制法を創出します。

Dani Keshav

川村パネル

Imaging Dark Excitons in Momentum Space
運動量空間における暗い励起子の視覚化

運動量禁制な暗い励起子は異なる運動量を持つ電子と正孔が結びついた複合粒子です。運動量保存則により暗い励起子は光との相互作用を受けず、光を利用する手法では調べることが困難でした。近年の私たちの研究では 画期的な光電子分光技術でこの調べることが難しかった暗い励起子を画像化し、暗い励起子は明るい励起子の数を上回ることを発見しました。本研究では、直接暗い励起子を操作し、光から保護されている状態を利用して今後の量子技術に役立てることを目指します。

谷川 俊祐

水島パネル

新規全胚培養システムを用いた血流と尿排出路を有する次世代腎臓オルガノイドの創出
ヒトiPS細胞から腎臓オルガノイドの作成が可能になりましたが、機能を持つ腎臓へ成長させるには血流(入口)と尿の排出路(出口)が必要です。本研究では血流と尿排出路を有する次世代型の腎臓オルガノイドを構築し、豊富な血流によってオルガノイドが成長・成熟できる新しい培養システムを確立します。これにより正確な病態再現に基づいた創薬と移植可能な腎臓の作製を目指します。

田上 瑠美

石塚パネル

環境リスクの高い未規制化学物質の探知とリスク低減措置の検討
私は、液体クロマトグラフ-高分解能質量分析計(LC-QToF-MS/MS)を用いたワイドターゲット・ノンターゲット分析により、水環境および水生生物に残留する未規制化学物質とその分解・代謝産物について、それらの存在と挙動を包括的に解析します。検知された未規制化学物質とその分解・代謝産物について、in silico予測、in vitro試験、試験魚を用いたin vivo曝露試験により、発生毒性・中枢神経毒性・内分泌かく乱作用を評価します。これらの結果を統合し、魚類に対して高濃縮性・高毒性を示す未規制の環境汚染物質の提示を目指します。また、南・東南アジアに適した費用対効果の高い環境リスク低減策の提案も試みます。

田畑 亮

阿部パネル

植物環状ペプチドの機能解明によるストレス応答の制御
植物が持つ多様な「環状ペプチド」の細胞間/器官間シグナルにおける役割はほとんど理解されていません。本研究では、化学・合成生物学・ゲノム科学的解析手法により、環状ペプチドライブラリー・環状ペプチド遺伝子クラスター破壊株を網羅的に作成し、環境ストレス応答における環状ペプチドの機能を解明します。さらに、構造生物学的解析を通じて、植物に環境ストレス耐性を付与させるキメラ環状ペプチド分子創製に挑戦します。

田巻 孝敬

吉田パネル

石油化学工業を代替するCO2電解技術の創生
持続可能な社会を構築するために、化石資源へ依存した社会から非化石資源を利活用する社会への転換が求められています。本研究では、二酸化炭素を原料として、再生可能エネルギー由来の電力により高選択的に化成品の原料やエネルギー・燃料源を生成する電気化学還元(電解)の反応場設計基盤を構築します。本研究をもとに、将来的には石油化学工業を代替する技術の創出による化石資源依存からの脱却を目指します。

樽谷 直紀

伊丹/福島パネル

ナノ粒子の多元複合クラスター化が拓く機能材料開発
10 nmを下回る大きさのナノ粒子はバルク材料とはまったく異なる性質を示します。私の研究ではそのような微小な粒子を複数種用意し、所望の形に集積させた“多元複合クラスター材料”を創製します。多元複合クラスター材料を構成するナノ粒子の組み合わせ、粒子間距離、表面・界面構造、集積形態を様々に制御することで、粒子間の機能協奏や異種物質間の融合を引き起こす未踏の機能材料開発に挑戦します。

湯 代明

CNT molecular junction based THz electromechanical systems
カーボンナノチューブ分子接合型テラヘルツ電気機械システムの開発

本研究では、カーボンナノチューブ分子接合に基づく極めてコンパクトな電気機械システムを創出します。最先端その場電子顕微鏡により原子構造変化メカニズムを解明して、機械学習により作製プロセスを最適化します。本研究を通じてテラヘルツレベルのナノ電気機械共振器を開発することによって、次世代通信に向けた超高周波発振素子や室温付近で作動する量子センサーへの応用展開を目指します。

陳 オリビア

八木パネル

高性能非ノイマン型超伝導SoCの開発
情報社会の高速発展に伴う電力危機を緩和するため、従来の演算アルゴリズム、アーキテクチャ、デバイス・材料にとらわれない破壊的コンピューティング技術が求められています。本研究は厳密計算と非厳密計算両モードを備える超伝導計算コアに、ハードウェアセキュリティ技術とCMOSメモリを加えた超伝導SoCを開発します。それぞれ技術の性能を最大限に引き出すことに挑戦し、高速と低電力両立できる革新的なコンピューティング技術の確立を目指します。将来的には量子計算機との複合化より、次世代のスーパーコンピュータの実現を目標として、科学的発見加速や新分野の開拓に貢献します。

塚本 裕介

川村パネル

強化学習による超高速数値計算の実現と星惑星形成の新展開
本研究では、強化学習を応用した動的負荷分散アルゴリズムを提案し、それを用いて惑星のゆりかごである原始惑星系円盤の数100万年にわたる形成進化過程、さらにその内部でのダストの成長と(微)惑星の形成過程を第一原理から解明し、「星と惑星の共進化パラダイム」を打ち立てます。さらに、本研究で開発する強化学習を用いた動的負荷分散ミドルウェアの産業/社会シミュレーションへの応用も目指していきます。

辻 かおる

合田パネル

生物多様性に関する新分野「多様性輪環学」の創成
環境依存的な生物多様性の創出維持機構を解明する新分野「多様性輪環学」を創成します。それぞれ独立の研究分野で研究されてきた生物多様性の二側面、「種の多様性」と「同種内の多様性」の融合は大きな挑戦ですが、多様性間の環境依存性に着目することで達成できるはずです。本創発研究では、この新分野創成の基盤となる花-動物-微生物の繋がりをモデルとした具体例を示し、新たな生物多様性の創出維持機構の提唱を目指します。

土持 崇嗣

北川パネル

未踏化学を拓く革新的エンタングルメント量子計算
量子コンピュータは夢の計算機ですが、物質科学に活用するためには堅牢な計算アルゴリズムが必要です。本研究では、物質の状態を「複雑に絡まった紐」として捉え、これを正確にほどくための量子プログラムを展開することにより、量子計算機の性能を引き出します。これに応用数学やデータサイエンスなど古典ツールを融合することで、最先端のスパコンでも太刀打ちできない化学の未踏領域を切り拓くシーズを創出します。

天神林 瑞樹

液体建築学の開拓
液体は流動性により、決まった形状を持たず、触れると変形してしまいます。液体を、流動性を保ちながら任意の形状に固定できれば「液体は不定形状」の常識が破壊されます。本研究では、はつ液処理を施した「ぬれない液滴」をビルディングブロックとして構造を組み立てる“液体建築”を開拓します。液体を固体物質のように自由に成形することが可能となり、液体によるものづくり産業の基盤構築に貢献します。

藤 泰子

塩見(美)パネル

植物のエピゲノムパターン構築機構の解明と応用
DNAメチル化などのエピゲノム修飾は長期的遺伝子抑制記憶であり、動植物ゲノムに多く含まれる転移因子やウイルス等の有害配列に特異的に蓄積し、発現を抑制します。私は、植物がエピゲノム修飾をゲノム上に正しく構築する機構解明や、その自然界での役割の理解に加えて、それらを基軸とした生物種横断型人為的エピゲノム編集技術の創出と発展的応用により、SDGs達成に貢献しうる“GMOフリー” な有用植物作出技術の開発に挑戦します。

都甲 薫

井村パネル

ハイブリッド・チャネル相補型薄膜トランジスタ
超スマート社会の実現には、より高性能・多機能かつ汎用性の高いヒューマンマシン・インターフェイスの開発が不可欠です。これまでシリコン基板上に制限されてきた集積回路をプラスチックシート上に構築することができれば、軽量・薄型・フレキシブル・低コスト・低消費電力・高速動作など多くの利点をもつ新しいデバイスが実現します。本研究では、まだ世の中にない革新的な薄膜トランジスタ材料の開発に挑戦します。

戸田 安香

阿部パネル

脊椎動物における旨味・甘味の起源の解明
味覚は食物を摂取するか否かを決定する上で重要な化学感覚です。私はこれまでに、旨味・甘味センサーであるT1R受容体の機能を解析するための培養細胞アッセイ系を構築しました。さらに、鳥類や霊長類において、T1R受容体の機能が食性と深く結びついていることを明らかにしました。本研究では、解析対象を脊椎動物全般へと拡大することで、嗜好味(旨味・甘味)とは何かという、おいしさの基本原理の理解を目指します。

富田 弘之

天谷パネル

血管内皮とグリコカリックスの「見える化」から創る新毛細血管学
全身の血管の99%を占める毛細血管の内皮構造は3種に分類され、その内皮表面のグリコカリックス(糖衣)の超微細構造と成分は臓器や組織によって違うことを明らかにしてきました。さらに多くの臓器や組織でのグリコカリックスの多様性を可視化し、その多様性に基づく臓器・個体レベルの恒常性維持機構や疾患における血管内皮グリコカリックスの役割の解明に挑戦します。そして、今まで見えていなかった毛細血管の謎に迫ります。

冨菜 雄介

合田パネル

縮重性を備えた神経回路網の動的制御機構の解明
脳神経回路網では、異なる特徴をもつ神経細胞群が類似の機能を発揮するという縮重性を示します。適応的な行動発現において、縮重した個々の神経細胞がどのように動的に制御されているのか、その機構は未解明です。本研究では、シナプスレベルでの網羅的な解剖-生理学研究に適したヒルの神経系をモデルとして、探索的実験アプローチと実験データに基づく理論的アプローチの両輪により、縮重した神経回路網の動作原理を理解します。

富松 航佑

田中パネル

空間マルチオミクスによる加齢性筋萎縮機構の解明
本研究では加齢に伴い多様化する細胞集団と組織の機能低下の因果関係を、加齢性筋萎縮をモデルに単一細胞空間マルチオミクスの開発とともに明らかにします。加齢性筋萎縮は、加齢に伴う骨格筋幹細胞の減少による筋再生能の低下です。この骨格筋幹細胞の減少は、幹細胞維持に必要な周辺細胞の異常が原因であることが示唆されてきました。しかしながら、細胞間相互作用の異常を解析するためには、加齢という時間軸上で細胞間の無数の因子を追跡するような解析が必要です。そこで私は単一細胞解像度で空間的な遺伝子発現変化とシグナル伝達を同時解析するオミクス手法を開発し、スナップショットデータから擬似時間を構築することで加齢に伴う幹細胞状態と周辺環境の因果関係解明を目指します。

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