初代創発PO研究体制

創発研究者(2022年度採択)

さ行

齋藤 卓

八木パネル

蛍光情報工学による高次元1分子計測テクノロジーの創出
本研究では、蛍光の伝播を制御する光符号化技術を発展させ超解像光学顕微鏡である1 分子局在化顕微鏡に導入し、空間 3 次元、マルチカラー、リアルタイムでの蛍光1分子イメージングという計測次元と時空間分解能に革新をもたらす顕微鏡技術を開発します。開発した計測技術を用いて、遺伝子発現、シグナル伝達など生命の基本原理に関わる分子反応をリアルタイムに計測し、生命科学領域のブレークスルーを目指します。

齋藤(千見寺) 貴子

田中パネル

細胞老化が形成するストレスレジリエンスな細胞社会の解明
うつ病は全世界で3億7千万人以上が発症し、年々増加し続けています。ストレスが引き金となって発症すると言われていますが、原因はわかっていません。ストレスに強い人と弱い人の違いは何か?私たちはどのようにストレスから回復(レジリエンス)するのか?細胞老化という現象から明らかにします。そこから、ストレスを受けても回復できる「ストレスレジリエンス薬/治療」という新たな戦略の創成に挑戦します。

才ノ木 敦士

堀パネル

CO2鉱物化法を用いた誘発地震抑制技術の基礎的検討
地下深部における工学プロジェクトの増加によって誘発地震の活発化が予想され、地震活動を抑制することができる技術の開発が急務となっています。本研究は、超臨界CO2を断層領域に注入し、嫌気性微生物によって固化(鉱物化)させることで誘発地震の発生を抑制する技術の開発を目的としています。この技術は、将来的に岩盤改良技術、地下深部の嫌気性微生物の特性解明、断層を利用したCO2地下貯留など多分野へ応用が期待されます。

坂上 倫久

組織線維化を駆動する血管新生の新概念
生活習慣病の多くは、過度に病態が進行すると元に戻らない状態になり、治癒が困難となります。この現象は、線維化と呼ばれる組織構造変化が起き、本来の組織としての役割を果たせなくなることに起因します。本研究では、イメージングや単一細胞解析などの最新技術を駆使して“組織線維化の駆動装置である血管新生”をリアルタイムかつ分子レベルで捉え、組織線維化を自在に制御できる革新的イノベーションの創出を目指します。

坂本 大介

八木パネル

デジタル体験の多様性、公正性、包括性のための情報科学
現代のデジタル機器は、身体的・精神的に健康でデジタルの知識を有する人々の生産性を最大化するためにシステムが設計されてきましたが、今後のデジタル機器は多様な人々に対して(多様性)公平に拓かれた存在で(公平性)、彼らの生活を豊かにするもの(包括性)であることが期待されています。本研究では「ユーザインタフェース」の観点から一人ひとりが生きる喜びを得られるようなデジタル体験の実現に挑戦します。

佐藤 敦子

塩見(美)パネル

変化する環境下での卵の品質を管理する方法の開発
卵は環境の影響を受けやすいため、卵の品質管理は、地球環境変動における種の保全や食料確保、さらには人類の生殖医療にまで、幅広い分野での鍵です。本研究では、環境が卵に与える分子レベルでの変化を明らかにし、卵の品質を予測する数理モデルの作成を目指します。さらに、体細胞から生殖細胞へのmRNAの輸送経路を明らかにし、生体内で卵の品質を管理するナノドラッグ・デリバリー法の開発を目指します。

佐藤 勝俊

北川パネル

酸化物ナノフラクションの集積を基軸とした 新奇触媒活性サイトの創出
本研究では、多元素からなる酸化物のナノフラクションを金属粒子表面に集積させた、金属-酸化物協奏サイトを構築する技術の確立に取り組みます。この新奇な構造を触媒活性サイトとして活用し、CO2や水素、窒素といった気体状小分子を活性化させて物質変換反応へと導く新しいプロセスに展開することで、資源・エネルギー問題の解決やカーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目指します。

佐藤 荘

水島パネル

疾患特異的マクロファージから繙く抗腫瘍メカニズムの包括的理解
近年、免疫系をターゲットにした薬の開発により、これまで治らなかった病気が治るようになりつつあります。この免疫細胞の多くは細胞に多様性がありましたが、マクロファージにはそれが見られませんでした。私達は、マクロファージに疾患ごとのサブタイプがあることを世界に先駆けて証明してきました。本研究では対象疾患をがんに定め、新規サブタイプによるがん抑制メカニズムの研究を行い、革新的な治療法の開発につなげます。

佐藤 達雄

合田パネル

細胞コンパートメント演算が生み出す前頭前野の柔軟な計算
大脳皮質前頭前野はヒトで発達した領野で、作業記憶など状況に応じた計算を担います。柔軟な計算力は神経回路レベルの演算及び神経修飾物質により説明されてきました。一方、一個の神経細胞の細胞内区画にも適応力のある演算能力が備わります。本研究では、前頭前野の細胞内演算を測光する独自技術を用いて、細胞内ミクロ演算が前頭前野の柔軟なマクロ計算に関わることを示します。このことで脳の情報処理の捉え方が変わります。

佐藤 弘志

伊丹/福島パネル

4次元多孔性結晶の科学
私はこれまで多孔性結晶に関する新発見を見出してきましたが、いずれも「平衡論的」な考えに基づいた研究でした。一方、最近独自に見出した萌芽的知見はいずれも「非平衡論的」な、重要だが未解決な問題を内包することに思い当たりました。非平衡状態の視点をナノ空間科学へと展開することで、ナノサイズ領域の界面におけるゆらぎが重要な役割を果たすナノ空間物質の科学、『4次元多孔性結晶の科学』の創成を目指します。

佐野 航季

北川パネル

二次元物質の一次元自己集積化を基軸とする無機超分子ポリマー
本研究では、溶媒に分散した無機ナノシートなどを一次元的に自己集積化させることで無機超分子ポリマーを創成し、その基礎的理解・構造制御・機能探索を行います。無機ナノ物質固有の特性と一次元階層性とのカップリングによる創発的機能を示す次世代ポリマーの開拓を目指すとともに、無機物質の高機能性と超分子的構造由来の柔らかさ・動的性質を両立する革新的無機ソフトマテリアルの創出に挑戦します。

志賀 拓麿

時空間サーマルフォノニクスの創生
本創発研究では、電場印加と電荷注入によって物質中の熱伝導に寄与するテラヘルツ(THz)フォノンを制御する理論を新たに確立するとともに、それに基づいたフォノン輸送スペクトルの高信頼性計測技術を実現することで、既存技術では到達できなかった熱伝導率の動的制御や指向性制御、非平衡コヒーレントフォノン物理の開拓など、THzフォノンを時間・空間的に自在に操る技術(時空間サーマルフォノニクス)を創生します。

品岡 寛

川村パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

2粒子レベルの量子埋め込み理論に基づく新規第一原理計算手法の開発と実証
量子もつれの強い物質の定量的物性予測は、古典、量子コンピュータ単独では不十分です。本研究では、古典と量子双方の「情報圧縮技術」を融合させ、限られたリソースを活用する新しい第一原理計算手法の創出を行います。具体的には、2粒子レベルの埋め込み理論、量子計算を融合した高精度第一原理計算手法を開発することで、将来の新機能探索及び材料解析の加速を狙います。

篠田 一馬

八木パネル

多元・小型・低容量を同時達成するメタイメージングの創成
自動運転や遠隔医療といった応用に向けて人間の目では識別できない光の波長や偏光の画像撮影が不可欠となっていますが、画像情報の多元化には、解像度、機材規模、撮影回数、データ容量などが犠牲になるトレードオフが発生していました。本研究では、撮影成分の多元化と圧縮の機能を併せ持つメタマテリアルを開発することで、超小型かつ超低容量に様々な光情報を一回で撮影する新しいイメージングを開拓します。

澁谷 大輝

塩見(美)パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

雄性減数分裂期における中心小体の制御
世界中で約15%のカップルが不妊症を抱えており、その分子基盤の理解と治療法の確立は早急な社会命題です。本研究では、雄性生殖細胞で染色体の正常な分配を担保し、また精子の鞭毛形成時に主要な働きをする中心体と呼ばれる構造体に着目し、その分子制御の解明を目指します。精子の中心体は受精を介して受精卵へと引継がれるため、本研究は不妊症のみならず、ヒトの発生異常や遺伝病の理解にも繋がることが期待されます。

嶋田 隆広

井村パネル

格子欠陥機能力学が拓く極小原子空間の機械機能工学
ナノ・量子技術によるパラダイムシフトの渦中にある現在、原子・量子レベルで自在に機能する極小機械の実現が急務となっています。私は、物質中に遍在する格子欠陥が持つ特異な量子状態を制御する力学原理を解明し、限界寸法を超えた極小な磁性強誘電機能を創発することで、原子レベルで力学・電気・磁気エネルギーの相互変換が可能な「世界最小の量子機械」の創出と新領域「原子空間の機械機能工学」の開拓に挑戦します。

島田 斉

脳老化可視化技術の開発と脳機能リザーブ本態の解明
加齢は認知症を含む神経変性疾患発症のリスク因子ですが、脳加齢の本態は明らかになっていません。私は、神経変性疾患患者の脳内にみられる異常たんぱくを処理する機構の機能低下こそが、脳を含む生体加齢の一端を担うものと考えています。本研究では、加齢による異常たんぱく処理機構の機能低下を反映する「TMEM106B凝集体の定量可視化技術」を含む脳老化評価技術を開発し、神経障害発現における脳加齢の役割について解明します。

島田 裕子

水島パネル

寄生蜂毒研究に基づく上皮選択的な細胞死誘導の解明
私は、内部寄生蜂ニホンアソバラコマユバチが、宿主ショウジョウバエ幼虫の体内にある将来の成虫組織となる上皮細胞に細胞死を誘導する現象に着目し、上皮組織選択的に作用する寄生蜂毒の同定とその作用機序を明らかにすることを目指します。寄生蜂の巧妙な生存戦略を支える毒成分の多様性とその作用機序を包括的に理解することによって、新たな知の創出に貢献し、寄生蜂毒の天然医学資源としての価値を評価します。

志村 恭通

川村パネル

オールfスピンメタルの0.1 Kを生成する磁気冷凍機の創製
絶対零度に極めて近い0.1ケルビンの温度域は、量子力学的効果が顕在化するため、需要が高まっています。磁気冷凍法は簡単に極低温を生成できる反面、”冷却材の熱伝導が悪く扱いにくい”点と、“連続運転が不可能”という問題があります。これらを解決すべく、すべて f 電子を含む希土類磁性金属で作られた、オール f スピンメタルの磁気冷凍機を開発します。

下田 麻子

田中パネル

細胞外小胞表層糖鎖プロファイリングと再生医療応用
細胞が分泌するナノ~マイクロサイズの微粒子である細胞外小胞は、生体情報を細胞から細胞へと伝達する重要な役割を担っています。しかし、不均一な性質を持つ集団である細胞外小胞を効率よく分離する技術は未だに確立していません。本研究では細胞外小胞表面の糖鎖プロファイリング技術を活用した(1)細胞外小胞分離・精製技術の開発、(2)糖鎖を介した細胞との相互作用制御および医療応用への展開を目指します。

城(渡辺) 愛理

天谷パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

重炭酸イオン生物学の創成
脳梗塞の治療において、急性期の虚血再灌流障害を軽減することは極めて重要です。私は、重炭酸イオンに着目して脳虚血再灌流障害の機序を明らかにし、脳梗塞の画期的治療の開発を目指します。さらに、「酸塩基平衡による細胞内シグナル伝達の調節」といった概念の創出や、他臓器の虚血再灌流障害や腎不全・呼吸不全への展開を通じ、全く新しい研究領域「重炭酸イオン生物学」を創生します。

庄司 衛太

北川パネル

ゆらぎで分ける技術の創出
分離技術は、化学産業やエネルギー産業の根幹技術です。本研究では、装置内のゆらぎに基づき、微小流体要素にある種の熱力学的サイクルを形成・制御・連鎖させた、新たな分離技術を創出します。本研究の遂行を通じて、流体要素が経験するサイクルに着目した新たな工学分野を開拓するとともに、未利用熱利用・低コスト・低環境負荷・長寿命を兼ね備えた分離技術の実現を目指します。

杉浦 大祐

水島パネル

シスインタラクトーム解析法の開発による免疫制御機構の解明
免疫細胞の機能は、細胞表面上の様々なリガンド・受容体による相互作用で厳密に制御されており、様々な疾患の創薬ターゲットになると期待されていますが、その全貌が解明されているわけではありません。本研究では、特に同じ細胞上で隣り合って結合(シス結合)するタンパク質の相互作用に着目し、免疫細胞上で機能する新たなシス結合タンパク質を探索、生理的な意義・機能を解明し、画期的な創薬への応用を目指します。

杉本 真也

(阿部パネル)

アミロイドの制御分子から開拓する感染症・神経変性疾患の融合領域研究
難治性感染症の原因となる細菌のバイオフィルムの形成とアルツハイマー病などの神経変性疾患には、「アミロイド」と呼ばれる線維状のタンパク質凝集体が関与します。本研究では、細菌からヒトに至る様々な生物が備えた、細胞内へのアミロイドの蓄積を抑制する仕組みを解き明かします。そして、これまで独立した研究領域であった感染症研究と神経変性疾患研究の融合を図り、これらの問題を解決することで健康寿命の延伸に貢献します。

杉本 敏樹

伊丹/福島パネル

次世代アクアナノ界面機能化学を拓く高次非線形分子分光
水分子は種々の物質表面に凝集し、その界面は環境エネルギー分野においては水分解反応や蓄電デバイス等の基盤的な化学技術の舞台となっています。ナノ界面水の化学的機能は、多体の水分子と物質の間のヘテロな相互作用が織りなす協同的現象がその根源にあると考えられますが、従来の手法ではその実像に迫ることが困難でした。本研究では、非線形分光法に立脚し、ナノ界面水系の機能化学を開拓することに挑戦します。

鈴木 健仁

井村パネル

テラヘルツギャップを切り拓く人工構造材料の深化と7G通信への展開
本研究では、私が独自に発見した高屈折率で無反射な人工構造材料を深化し、6G通信のさらに次の世代の7G通信まで視野に入れたテラヘルツ電磁波領域(0.3~3THz帯)の光源と融合し、未来社会を担う次世代通信技術に必要となる超高効率なテラヘルツデバイスの開拓に挑戦します。設計理論の確立、作製法の体系化、実験による証明を通して、独自に生み出した材料をテラヘルツデバイスへ応用した際の学理を確立します。

須田 理行

伊丹/福島パネル

カイラルイオントロニクスによる電磁交差物性創発
キラルイオン液体を用いたイオントロニクス、すなわちカイラルイオントロニクスという新概念を用いて、凝縮系物質に対する空間反転対称性とキャリア密度の同時制御を実現します。これによって、非自明な電磁交差物性を創出するとともに、スピントロニクス・スピン依存電気化学反応などへの応用を指向した、これらの物質の材料化・デバイス化への展開も行い、空間反転対称性の破れに基づく新たな物性科学基盤を開拓します。

首藤 裕一

八木パネル

自己安定アルゴリズムの飛躍的発展に向けた研究
多数のコンピュータが協調して動作するシステムを分散システムと呼びます。生物の傷がやがて治癒するように、一部のコンピュータに障害が発生しても分散システムの機能を自律復旧させる仕組みとして、「自己安定」と呼ばれる技術があります。本研究は、緩安定、平滑評価と呼ばれる新たなアプローチを主軸として、自己安定の適用可能範囲を飛躍的に拡大し、多種多様な分散システムの故障耐性を大きく高めることを目指します。

角野 歩

塩見(美)パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

連動する三種のイオンチャネルの活性化と集合離散動態
私たちが熱いと感じる時、まず43℃以上で開くTRPV1チャネルがCa2+を細胞内に流入し、このCa2+刺激によりTMEM16AがCl-を細胞外へ流出します。この際の細胞内外の電位差の変化により、電位依存性Na+チャネルが一斉に開き、活動電位が発生・伝導して情報を脳に伝えます。本研究では、これら連動する三種のチャネルの個々の分子の構造動態と分子間の集合離散を高速原子間力顕微鏡で観察し、チャネルの連動性と分子間相互作用の関係を解明します。

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遺伝子位置情報から遺伝子機能予測 - 「転写ファクトリー」概念の立証研究
RNAの多くはランダムな場所ではなく特定の場所、いわゆる「転写ファクトリー」で産生されることが明らかになりつつありますが、その詳細は不明です。私は、この概念を実験的に立証し、更に、転写ファクトリーは単純な物理的RNA工場ではなく、機能的に近い遺伝子を系統的に集め総合的に制御することを改めて提案します。本研究は、遺伝子の位置情報から遺伝子の機能を予測する新しい研究シーズの創出につながることが期待されます。

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