初代創発PO研究体制

創発研究者(2022年度採択)

は行

幡本 将史

堀パネル

バイオフィルム微生物の分離培養と増殖制御技術の開発
微生物が形成するヌルヌルとしたバイオフィルムと呼ばれる集合体は、水の再利用に不可欠な膜処理において問題となっています。本研究では、バイオフィルムの原因微生物を特定し、その微生物を死滅させることで、バイオフィルム形成を防止する技術の開発を目指します。バイオフィルムは色々なところで問題となっており、本技術はそれらの解決に貢献するこれまでにないアプローチであり様々な応用が期待されます。

服部 香里

超伝導検出器アレイが拓く暗黒物質探索
近赤外光子1個程度の微小なエネルギーを精密に捉えることが可能な、超高感度の超伝導検出器を用い、軽い暗黒物質探索を行います。100万eV(電子ボルト)程度の質量を持つ軽い暗黒物質の探索はフロンティア領域であり、その探索に挑みます。そのために、多くの超伝導検出器からの信号を一気に読み出せる技術を研究します。さらに、本研究で開発する読み出し技術を量子計算へ応用することによって、量子ビットの大幅な増大への貢献が期待されます。

林 博之

北川パネル

新規多元系物質群の自律探索システム開発
新物質の発見は産業的にも学術的にもブレークスルーの起点であり、これまで様々なアプローチによる探索的研究が積み重ねられてきました。一方、最先端の手法を以てしても解決困難な問題の一つに多元系物質の合成条件予測があります。本研究では、単純な組成から多元系物質までを網羅する潜在的記述子を創出し、これを用いて広大無辺な合成条件空間を開拓することで、未知の多元系材料を効率的に発見します。

原 祐輔

堀パネル

都市・交通・活動の共進化の数理
なぜ都市には多様な活動や空間パターンが存在する一方で、似たり寄ったりの均質な相似形を見せることもあるのでしょうか。都市が固有性と均質性を同時に有するメカニズムを長期間にわたる都市・交通・活動の実証データから、最節約相互作用原理に基づく新しいデータサイエンスの方法論を用いて明らかにします。都市と活動・交通行動の共進化数理モデルを構築し、 都市・交通・活動を分析する新たな共通言語となることを目指します。

原渕 祐

伊丹/福島パネル

量子化学計算に基づく光機能性分子の自在設計
光機能性分子は我々の社会において重要な役割を担っており、現在も新規分子開発が進められています。一方で、分子の光応答に対する無輻射失活過程の寄与の予測は難しく、分子開発には一般的に繰り返しの合成実験が求められます。本研究では、無輻射失活経路に対する量子化学計算と速度論に立脚した発光量子収率・反応収率の予測を実現し、さらに、機械学習・化学情報学を組み合わせることで光機能性分子の自在設計を目指します。

樋口 嵩

川村パネル

超冷中性子スピン・メーザーによる標準模型を超えた物理の探索
非零の中性子の電気双極子モーメント(EDM)は、時間反転対称性を破る物理量であり、標準模型を超える物理の敏感なプローブです。1980年代から現在に至るまで、中性子EDMの測定は、容器に蓄積された超冷中性子の電磁場中での歳差周波数をラムゼー共鳴法によって測定することで行われてきました。本研究では、現在開発中の新型高強度超冷中性子源を活かした中性子EDM測定装置の実験要素を開発するとともに、スピン歳差位相の直接検出による中性子EDMの新測定手法を提案し、その原理実証を試みます。

常陸 圭介

田中パネル

タンパク質のメチル化修飾に基づいたサルコペニアの克服
老化に伴う筋力・筋量の低下(サルコペニア)は健康長寿社会を実現するための大きな障害となりますが、その発症メカニズムは未解明であり治療法の開発も不十分です。私は、骨格筋のタンパク質に対する小さな化学修飾(メチル化修飾)の減少が筋力低下につながるという新発見を基に、サルコペニア発症のメカニズムを解き明かします。減少したメチル化修飾の回復によりサルコペニアを克服し、いつまでも健康に暮らすことができる社会の実現を目指します。

平原 秀一

八木パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

メタ計算量による暗号の安全性の解析
計算量理論は、計算に必要とされる計算量(計算時間・メモリ等)を解析する学問です。近年、計算量を問う問題の計算量を考える「メタ計算量」という概念を用いることにより、計算量理論および暗号理論における重要な未解決問題に進展を与えられることが明らかとなってきました。本研究では、メタ計算量を用いて、暗号の安全性に関わる未解決問題を解決し、より安全な暗号を構築することを目指します。

Hirschberger Maximilian

川村パネル

中心対称な金属におけるメロン・スキルミオン構造の開拓
Pioneering meron and skyrmion textures in centrosymmetric metals

本研究は、新しいタイプの磁気スピン構造の探索と、スピン構造に磁場や電流を印加することによる情報の読み書きをターゲットにしています。磁気らせん構造は位相の自由度を持つ波であり、量子工学において未開拓の制御パラメータと言えます。スピン渦格子における磁気らせん構造間の相対的な位相や、ファンデルワールス磁性体における結晶格子に対するらせん構造の相対的な位相の制御と読み出しを目指します。

廣井 慧

八木パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

防災IT連携基盤によるCrisis Computingの創出
本研究は、根拠データに基づいた被害把握や防災対応を可能にするため、数時間先の被害を詳細に予見可能な情報技術 Crisis Computing の創出を目的とします。優れた防災要素技術と実働システムとのリアルタイム連携技術、災害や人間行動を精緻に現出技術、対応策の検証環境を研究開発し、未知の災害に対しても被害を最小化する対応策の導出と減災社会の実現を目指します。

福井 一

水島パネル

血行力学特性が規定する心臓内腔形態の秩序形成
心臓は拍動し、細胞に対する外部からの力学刺激は発生から恒常性維持に至るまで必須の役割をもちますが、「力が果たす作用」は殆ど理解できていません。本研究では心臓管腔内の血流情報を切り分けて捉え、力学刺激を細胞内情報に変換する生物学的機構(メカノトランスダクション機構)の全容に迫ります。そして適切な血流と収縮力を保つための心臓管腔形態がどのように形成されるのか、新たな理解の提示を目指します。

福田 直到

天谷パネル

改変マラリア原虫による赤血球の多機能化を利用した新規治療開発
マラリア原虫は赤血球に感染し、その表面に他の細胞と接着するための分子を発現します。本研究では接着に関わるPfEMP1を人工的に改変した原虫を用い、腫瘍などの病変に自ら集まっていく機能を赤血球に付与します。これによってたとえば腫瘍の栄養血管を埋め尽くして血流を遮断したり、さらにその場で抗腫瘍分子を産生・分泌して病変を直接攻撃したりと、赤血球が全く新たな治療ツールになることが期待されます。

藤田 幸

合田パネル

損傷後の神経回路修復を促す手法の開発
病気や怪我で哺乳類の成体の脳や脊髄が障害を受けた場合、失われた神経機能を取り戻すことは非常に困難です。一方で、発生・発達期には、盛んに神経回路が形成され、多様な神経機能を獲得していきます。本研究では、脳や脊髄などの中枢神経障害後の神経回路修復、機能回復を促すために必要なメカニズムを明らかにします。得られた成果によって、神経細胞が本来発生期に有していた高い神経回路形成能を、成体の病態下で再現するための手法の開発を目指します。

藤吉 奏

吉田パネル

大気微生物の雲核形成メカニズムから生存戦略と気象への影響を考える
微生物は、新たな環境に迅速に適応・増殖し、拡散することでヒトの健康・生態系にも大きく影響します。上空に運ばれた微生物種ほど乾燥や紫外線にさらされますが、より遠くに移動できるため、上昇流と雲が種の高度依存性と広がりに強く影響しているはずです。そこで本研究では、「大気微生物の雲核形成メカニズムから生存戦略と気象への影響を考える」ために、現場測定、室内実験、数理モデルで明らかにすることを目指します。

藤原 慶

塩見(美)パネル

創るトランスクリプトームにより迫る生命の設計原理
ゲノムの情報はトランスクリプトームへと転換されることで生命の設計図となるため、この仕組みが分かれば「ゲノムからどのように生命が組み立つか」が明らかになります。本研究では、精製されたゲノムから試験管内でトランスクリプトームを創る技術を利用し、生命の設計原理の解明に挑戦します。本研究は、生命の設計図というべき分子情報の理解だけでなく、物質から生命を創る技術や、デザイン生命の開発につながります。

藤原 宏平

北川パネル

トポロジカル物質群のアモルファス薄膜材料化
量産プロセスに適したアモルファス薄膜は、様々な機能材料や素子に用いられています。本研究では、特殊な結晶秩序や対称性が巨大物性を生み出す結晶性トポロジカル物質を対象に、その機能物性を構造の乱れたアモルファス薄膜で引き出すための学理構築に挑みます。短距離秩序の構造物性相関の解明と先進素子への応用を通して「アモルファストポロジカル電子材料」を創製し、次世代材料開発にブレークスルーを引き起こします。

蒲 江

北川パネル

原子層モアレ超格子の自在構造制御による量子機能デバイスの創製
原子層物質の積層ヘテロ構造に生じるモアレパターンは新奇物性・機能創発の舞台として物質科学に新たな潮流を生みつつあります。本研究では、歪み効果と組成変調を導入したモアレパターンの新しい構造制御技術を提案することで、既存手法では実現し得ない異方性・周期性・次元性・対称性を有するモアレ超格子を実現します。これにより、特殊なモアレポテンシャルに起因したユニークな量子物性を活かしたデバイスの創製に取り組みます。

北條 宏徳

田中パネル

形と細胞分化の制御学
個体発生における組織形成メカニズムの理解は、失われた組織を再建する鍵となります。本研究では、ヒト多能性幹細胞を用いた骨発生モデルにおいて、オミクス解析とバイオエンジニアリング的手法を駆使することで、組織の形と細胞分化を規定する化学シグナルと物理シグナルを明らかにします。さらにその根底にある遺伝子制御ネットワークを解明することで、組織の形と細胞分化を自由に操作可能な技術開発に挑みます。

星本 陽一

伊丹/福島パネル

反応空間を歪めて実現する「有機分活化学」
本研究は、持続可能な社会を実現するために、エネルギ-損失を前提とした発エルゴン的な結合形成反応の枠組みから抜け出し、結合の「分解」と「再活用」に基づく「有機分活化学」の視点から高難度分子技術を創出します。具体的には、従来の分子技術において殆ど反応起点にならなかった強固な炭素-炭素結合の切断を鍵とする「ベンゼン環の連結・組替手法」を、破壊的イノベーションのシーズとして開発します。

堀 琢磨

井村パネル

超高熱伝導率を有する放熱材の創成
既存の材料に比べて桁違いに高い熱輸送能力を持った放熱材の創成を目指します。この目的の達成のために、ナノスケールの結晶によって構成された材料内部の分子レベルの熱輸送解析を軸に、結晶成長や界面形成を含めた、これまでにない異分野融合かつマルチスケールに及ぶシミュレーション方法を開発します。開発した手法を用いた解析の実行によって、高性能な放熱材の実現のために必要な生成条件を明らかにし、その創成を行います。

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