E1310いのち・からだ・医療のひみつ

いろんな視点で想像しよう!「未来の医療」のかたち

JSTムーンショット目標2/日本科学未来館

9月13日(日)10:30〜12:00 5階オープンスペースE

出展レポート

提起した問い・目指した未来像

本セッションでは、JSTが推進するムーンショット型研究開発事業の中の、ムーンショット目標2が目指す「超早期に疾患の予測・予防ができる社会」をテーマとして、対象とする疾患のうち認知症を取り上げ〈「認知症を超早期予測・予防できる社会」をさまざまな立場の方がどのように感じるか〉を問いかけた。将来の発症を予測・予防するための研究開発を紹介しながら、生じる期待と課題、未来の医療のあり方についてディスカッションを行った。
また、当該セッションと並行して、ムーンショット目標2が掲げる超早期予測・予防に関する3つの問い「体の状態を常に測られる」「病気などの予兆を知らされる」「生活習慣をアドバイスされる」について、ブースの前で賛成・反対意見を貼っていただくボードを設置し、サイエンスアゴラの参加者からの声を集めた。
これら企画により、参加者が疾患の超早期予測・予防について様々な立場の方と対話し新たな視点や気づきを得る未来を目指した。

参加者との対話から生まれた意見や気づき

参加者との対話では、認知症を超早期に予測できる技術に対して、期待と懸念の両面から多様な意見が寄せられた。期待する意見としては、自身の体の状態を詳しく知ることができること、発症前に生活習慣の改善や予防行動に取り組めること、自分自身や家族が将来に向けて準備できることなどが挙げられた。一方で、発症の可能性を早い段階で知ることによる精神的な負担や、予測結果によって本人の不安を高めたり、周囲との関わり方を変えてしまうことを心配する声も聞かれた。また、利用できる人とできない人との格差、認知症にたいする社会の見方の変化や発症リスクの可視化による差別の可能性も挙げられた。さらに、予測技術の利用は本人の意思を尊重して選択できる「知らないでいる権利」が重要であるという意見が多く挙げられた。

対話を通じて得られた未来へのヒントと今後の展望

今回の対話を通じてムーンショット目標2の対象疾患の一つである認知症を超早期予測・予防する未来の実現には、研究開発と社会の仕組みづくりを両立させることが重要であるとの認識が共有された。また、予測だけでなく予防もできる社会が求められていることがうかがえた。参加者からは、予測結果を伝えるだけでなく、その後の相談体制や心理的サポート、生活改善を支援する仕組みが重要であるとの意見が多く挙げられた。また、個人情報の保護や差別の防止、公平な利用機会の確保などは、多くの参加者に共通する視点であった。発症リスクを知ることができるようになった社会では、その情報に振り回されず、一人ひとりの意思が尊重され、自分らしい生き方が選択できること、またそのような多様な生き方が発症の可能性や疾患の有無に関係なく受け入れられ尊ばれることが求められる。今回取り上げた認知症以外の疾患についても、社会との対話の場を設けることの重要性を認識しており、今後もムーンショット目標2が目指す未来像と研究開発についてアウトリーチを進めるとともに、市民との対話を重ねていきたい。

当日の様子