E1213いのち・からだ・医療のひみつ

見て、触って、体験するクロマチンの世界

CREST[生命力] 胡桃坂チーム

9月12日(土)13:00〜14:30 5階オープンスペースE

出展レポート

提起した問い・目指した未来像

【提起した問い】
私たちの生命を支えるDNAは、細胞の核の中でどのように収納され、機能しているのだろう?

【目指した未来像】
私たちが研究する基礎生命科学を、専門家だけが扱う難しい課題としてではなく、私たち自身の体や生命につながる身近な科学として捉えられる社会を目指した。分子模型やクイズ、研究者との対話を通して、子どもから大人までが「なぜだろう」「もっと知りたい」と感じ、基礎研究への関心と理解を広げる活動を企画した。

参加者との対話から生まれた意見や気づき

事前に参加者の年齢や既有知識に応じて、理解してほしい内容を段階的に設定していた。未就学児や小学校低学年には、細胞やDNAという体の中の小さな世界の存在を知り、科学に興味を持つこと、小学校高学年には、DNAがヒストンに巻きついてクロマチンを形成し、長いDNAが核内に収納される仕組みを理解することを目標とした。さらに、中学生以上には、クロマチンと遺伝子発現制御の関係や、顕微鏡・cryo-EMなどの観察手法、研究のプロセスへと関心を広げてもらうことを想定していた。
実際の出展では、こうした目標を意識しながら参加者と対話する中で、以下のような気づきが得られた。
・子供の場合、内容をその場で完全に理解すること以上に、「面白い」「驚いた」「不思議」と感じる体験そのものが強く印象に残っていたようだった。
・VRや模型など、細胞内部やクロマチンを立体的に体験できる展示は、目に見えない構造を具体的にイメージするきっかけとなっていた。
・大人の参加者でも、DNAという言葉は知っていても、その構造や細胞内での存在を具体的に捉える機会は少ないようだった。また、研究成果そのものだけでなく、実験や解析など、研究がどのように進められているのか、実践的な研究内容に関心を示す参加者も多くいた。
・「クロマチン」という専門用語よりも、「DNA」「遺伝子」「自分の体の中」といった馴染みのある言葉の方が参加者の関心を引きやすかった。また、同じ年代でも既有知識や関心には幅があり、年齢だけでは参加者が求める説明の深さを判断できないことが分かった。

対話を通じて得られた未来へのヒントと今後の展望

今回得られた気づきを踏まえ、今後の科学コミュニケーションや展示づくりでは、以下のような改善を行いたい。
・VRや分子模型による体験の後に簡単な問いかけを取り入れ、楽しさや驚きを科学的な疑問や理解へつなげる。
・CG動画では、人体や細胞といったマクロな視点から、分子・クロマチンといったミクロな視点までを連続的に示し、スケールや位置関係を理解しやすい説明を増やす。
・展示タイトルや呼び込みでは、まず「DNA」「遺伝子」「自分の体の中」など馴染みのある言葉を用い、その後に「クロマチン」などの専門用語へつなげる。
・参加者の既有知識や関心に応じて説明の深さを変えられるよう、複数段階の説明を用意する。また、必要に応じてサイエンスコミュニケーションの知見を持つ人材との連携も検討する。
・イベント以外でも専門的な研究成果に触れられるよう、SNSなどを活用した発信方法を検討する。

当日の様子