D1216地球・環境・未来を守る

台風制御が問いかける未来 ~2050年を考える~

東京大学 生産技術研究所 松山研究室

9月12日(土)16:30〜18:00 4階オープンスペースD

出展レポート

提起した問い・目指した未来像

「台風を制御したら、わたしたちの生き方はどう変わる?」を問いとして、2050年に台風制御技術が実現した社会を想像しながら、私たちはどのような未来を望むのかを参加者とともに考えました。
台風制御技術は、台風による災害を軽減する可能性がある一方で、自然への介入の是非、責任の所在、地域格差、国際的な合意形成など、さまざまな論点を含みます。本企画では、これらを「ELSIマップ」として可視化し、参加者が自分の関心に応じて問いをたどりながら対話しました。
技術の可能性だけを見るのではなく、技術の実現によって生じる社会的・倫理的な課題や、自然との関わり方まで含めて考えることを目指しました。

参加者との対話から生まれた意見や気づき

参加者との対話では、「台風制御が失敗したら、誰がどのように責任をとるのか?」という問いから、台風そのものが持つ不確実性に注目し、開発者だけでなく、個人の防災や避難計画も含めて責任を考える必要があるという意見が出ました。また、ある地域の被害が減っても別の地域に被害が移る可能性から、責任や被害の補償を社会全体で考える必要性についても議論が広がりました。
「誰が台風制御のあり方や実行を決定するのか?」という問いでは、国や政府だけでなく、国民や国際的な機関の関わりにも話が及びました。台風は国境を越えて影響するため、一つの国だけで決めてよいのか、地域によって異なる被害や利益をどう考えるのか、といった合意形成の問題が浮かびました。
さらに、「台風の被害感がない社会では技術は必要か?」という問いからは、台風がもたらす雨や水資源にも目が向けられ、台風を制御することは単に災害をなくすことではないという視点が生まれました。
「防災コストと技術投資をどう配分するか?」という問いでは、既存の防災と、実現可能性や効果がまだ不確かな台風制御技術への研究開発投資を、異なる性質のものとして考える意見が出ました。

対話を通じて得られた未来へのヒントと今後の展望

今回の対話を通じて、科学技術について考える際には、「技術が実現できるか」だけでなく、その技術によって自然との関わり方や社会の仕組みがどう変わるのか、誰が判断し、誰が責任を担うのか、といった問いを同時に考えることが重要だと分かりました。
また、台風制御という一つのテーマから、自然との関わり方、社会の決め方、技術の責任、被害と価値の捉え方など、異なる方向へ問いを広げることができました。技術の未来だけでなく、既存の防災や現在の社会の仕組み、地域による違いにも目を向けるきっかけとなりました。
今後は、今回の対話で生まれた問いや意見をもとにELSIマップを更新し、異なる論点や立場をより見つけやすく、参加者同士が新たな問いを生み出しやすいツールへと発展させていきたいと考えています。

当日の様子