C1213社会とつながる・世界とつながる

STSステートメント・サイエンスセッション

九州大学大学院 STI政策人材育成プログラム

9月12日(土)13:00〜14:30 4階オープンスペースC

出展レポート

提起した問い・目指した未来像

九州大学では、2012年度より「政策のための科学」教育研究拠点事業(SciREX事業)を推進しており、その一環として大学院における科学コミュニケーション教育を行っている。その中で大学院生に「STSステートメント」を作成させ、福岡市内で関催するサイエンスカフェで市民に向けて発表させ、その内容について市民とデイスカッションを行うことを義務付けている。「STSステートメント」とは大学院生の研究成果が将来において製品やサービスなどの携帯で社会に実装された場合に、社会に及ぼす影響を予測し、もしも問題が発生しそうな場合 (例えば環境問題等)は、それにどう対処するかをまとめた宣言 (ステートメント)である。それをサイエンスアゴラの場で実演し全国からの参加者との対話による交流を実現し、将来の研究者である大学院生と市民を隔てる垣根を乗り越えることを目指した。

参加者との対話から生まれた意見や気づき

出展演目:「STSステートメント EEGによる社会貢献できる?―EEG実装の便利さと不安を一緒に考えましょう!」について
参加者との対話やアンケートから、EEGの社会実装に対して期待がある一方、データの安全性や実際の利用場面で生じる課題への関心が高いことに気づきました。また、発表が以前より分かりやすくなったという意見がある一方、内容がやや抽象的との指摘もあり、具体的な事例を用いて説明することの重要性を感じました。
出展演目:「STSステートメント 非専門家市民との科学技術対話」について
自身が抱える問題意識については、参加者にも一定の理解を得られたと思う。質問では、「科学技術の関心度を高める役割は誰が担うのか」「参加を広く募ると議論の強度が弱くなる点をどう乗り越えるか」をはじめとした具体的な取り組みの方針に関する内容が多かったように思う。施策の粒度が粗い点はSTSステートメントを作成する中でも感じていた点であり、掘り下げの必要性を感じた。
出展演目:「STSステートメント オフィスの賃料設計から考える『価値』の科学」について
対話を通じて、自らの研究テーマを「誰のための研究なのか」という視点から改めて考える機会となりました。
また、研究テーマだけでなくデータ取得方法についても、研究者側の都合だけでなく、データ提供者の立場や負担に配慮することの重要性を再認識しました。

対話を通じて得られた未来へのヒントと今後の展望

出展演目:「STSステートメント EEGによる社会貢献できる?―EEG実装の便利さと不安を一緒に考えましょう!」について
EEGを地域医療などで実際に活用していくためには、技術開発だけでなく、市民が感じる便利さと不安の両方を取り入れることが重要だと感じました。今後は、てんかん発作予測の研究を進めながら、より具体的な利用場面や社会的課題を示し、市民との対話を研究や社会実装につなげていきたいと考えています。
出展演目:「STSステートメント 非専門家市民との科学技術対話」について
主張を十分に裏付ける根拠の掘り下げが浅い点があり、課題が抽象的になっていると対話を通じて実感した。特にサイエンスカフェのような場にどう一般市民を呼び込むかの点は十分な検討ができていないと感じる。既存の取り組みでできていること、できていないことを整理しつつ、“アート”のような新しい切り口をどのような形で実効性のある施策に落とし込めるかを検討していきたい。
出展演目:「STSステートメント オフィスの賃料設計から考える『価値』の科学」について
対話を通じて、研究プロセスを分かりやすく説明できることが、データ提供者の安心感や信頼につながることを実感しました。
今後は、研究成果だけでなく研究過程についても丁寧に発信し、関係者との相互理解を深めながら研究を進めていきたいと考えています。

当日の様子