B1315社会とつながる・世界とつながる

サイエンスまわしよみ新聞 ~新聞に科学を見つけるWS~

まわしよみ新聞つくり隊 by CoSTEP 修了生有志

9月13日(日)15:30〜17:00 3階オープンスペースB

出展レポート

提起した問い・目指した未来像

インターネット検索が主流となり、アルゴリズムが利用者の嗜好に合わせて情報を最適化することで異なる価値観や視点に触れにくくなる「フィルターバブル」や「エコーチャンバー」が深刻化している。科学技術の理解や社会的議論においても、同質の情報ばかりに囲まれることは多様な視点に触れる機会を失うことになる。私たちは本企画で、現在のデジタル社会において敢えてアナログで網羅性に優れる新聞を素材に用いることで、参加者が自らの興味とは異なる話題に関する新聞記事に出合い、自らの情報環境の偏りに気づき、自分の知らない情報や関心のない情報にも目を向ける必要があるのではないかと問いかけた。

NISTEP(科学技術・学術政策研究所)は科学技術に関する国民の意識について「科学技術のニュースや話題への関心度が高いと、偽情報・誤情報(フェイクニュース)に関する基礎的な用語の理解が深く、接触頻度も高く、真偽を確かめようとした割合も高いという関係を確認した」と報告しており、科学に対する関心を高めることは、フェイクニュースを鵜吞みにしないという態度を養うことにもつながると考える。

参加者との対話から生まれた意見や気づき

本ワークショップは出展者と参加者が直接対話をするのではなく、異なる背景を持ち、関心のある科学の分野も異なる参加者同士が、「これは科学だ」と感じた新聞記事を主体的に選び語り合うという、参加者同士の対話を特徴としたものである。

今回は、新聞記事を選ぶ条件を「これは科学だと思ったもの」とした。もしテーマを科学のひとつのトピックに絞ってしまうと、そのトピックを知らない、または知ってはいても関心の薄い参加者が対話に参加しにくくなってしまうと思われたので、参加者自身がそれぞれ「これは科学だ」と判断した記事を選び紹介することで、参加者同士が対等な関係を保って対話をすることが可能となった。

参加者アンケートでは「新しいサイエンスに出合えた」「また参加してみたい」という回答に加えて「自分でも企画してみたい」という回答もあり、「グループメンバーの関心がばらけていて新しい気づきがあった」という自由意見もあった。

対話を通じて得られた未来へのヒントと今後の展望

新聞には科学面だけでなく、経済、社会、文化、スポーツ面、さらには広告にも「科学」が潜んでいる。このことは、ワークショップ参加者が実際に切り抜いた記事や広告のテーマが自然、健康、医療、農業、AI、交通インフラ、国際卓越研究大学、異常気象と多岐にわたっていることからもわかる。参加者が「これは科学だ」と感じた記事を自由に選び語り合うことで、科学が社会のあらゆる場面に関わっていることも実感してもらえたと思う。

読む・選ぶ・切る・貼るといった手を動かす作業を通じて、気軽に科学を語り合える今回のワークショップの体験を科学コミュニケーションの手法として持ち帰り、家庭、教育現場、地域で実践してもらい、それに参加した人がさらにワークショップの担い手となって実践するという広がりが生まれることを期待する。

当日の様子