414地球・環境・未来を守る

気候変動の救世主!? 〜微生物による温室効果ガスの削減〜

市民参加型研究プロジェクト「地球冷却微生物を探せ」

9月12日(土)10:00〜18:00、13日(日) 10:00〜17:00 テレコムセンタービル 4階

出展レポート

提起した問い・目指した未来像

「地球冷却微生物を探せ」は、身近な土壌に暮らす微生物に着目し、温室効果ガスの削減につながる可能性を、市民と研究者が協力して探るプロジェクトです。さまざまな地域の土壌を調べる研究への参加を通じて、地球温暖化という大きな課題を足元の自然と結びつけ、自分も科学的な発見に関われると感じられる活動を目指しています。
微生物や温室効果ガスは目に見えず、日常生活の中では、その存在や働きを実感しにくい対象です。そこで今回の展示では、「見えないものをどのように身近に感じてもらい、研究への関心や参加につなげられるか」を問いとして、デジタル体験と実物に触れる体験、研究者との対話を組み合わせました。
ゲームやデジタルアプリケーションでは、微生物や温室効果ガスを画面上に表現し、楽しみながらその存在や関係に気づくきっかけをつくりました。二酸化炭素に加えて一酸化二窒素にも目を向けてもらい、研究で扱うテーマを身近に感じていただくことを意図しました。さらに、実験キットに触れ、研究者と直接話すことで、実際にどのような土壌を調べるのか、参加すると何をするのかを具体的に知り、疑問を確かめられる場を目指しました。
展示全体を通して、研究で得られた知識を社会に還元するとともに、来場者が微生物や温室効果ガスに抱くイメージや疑問を受け止めることを大切にしました。体験から生まれた興味を研究への参加につなげ、市民と研究者が問いや発見を共有しながら、継続して関わることができるコミュニティを形成することを目指しています。

参加者との対話から生まれた意見や気づき

当日は、小さなお子さんからご高齢の方まで、幅広い世代の方々に立ち寄っていただきました。ゲームやデジタルアプリケーション、実験キットをきっかけに、微生物や温室効果ガス、研究への参加方法などについて交流することができました。今回の出展を通じて実際の研究参加にもつながり、体験と対話を組み合わせた企画に一定の手応えを感じています。
特に印象に残ったのは、ゲームを体験した方からの「温室効果ガスは二酸化炭素だけだと思っていたけれど、一酸化二窒素もあるんだね」という声です。楽しむ中で、それまで知らなかった存在に気づいていただけたことを嬉しく思いました。同時に、研究者が日常的に使う「温室効果ガス」という言葉と、来場者が思い浮かべるものには違いがあると気づきました。微生物についても、どのような姿や働きを想像しているのかを聞きながら説明することが、目に見えない世界を共有するうえで大切だと感じました。
また、研究に必要な土壌の種類についての具体的な質問に加え、「探せ」というプロジェクト名に対して、実際にどこまで分かっていて、何が見つかっているのかを尋ねられる場面もありました。こうした問いから、参加の呼びかけとともに、これまでの成果や現在の到達点を伝えることの重要性を改めて認識しました。市民の協力が研究の中でどのように生かされ、その先に何を目指しているのかを説明する責任について、深く考える機会となりました。
さらに、日本科学未来館や各地域の博物館・科学館の関係者の方々とも話すことができ、社会教育の現場や、小中学生を対象とした学校教育との連携の可能性について議論を深めました。研究への参加機会を広げることに加え、身近な土壌を題材に、科学への関心や自ら問いを持つきっかけをつくる活動としても展開できる可能性を感じました。来場者の気づきと、教育に携わる方々との新たな接点の両方を得られたことが、今回の出展の成果です。

対話を通じて得られた未来へのヒントと今後の展望

本プロジェクトでは、多様な立場の方々と連携して、土壌微生物を活用した温室効果ガスの削減技術の開発を引き続き進めます。その過程や成果を社会と共有する活動では、今回の対話で見えた疑問や、目に見えないものを分かりやすく伝えるための工夫を反映していきたいと考えています。一般向けの情報発信では、土壌や実験キットの写真、微生物と温室効果ガスの関係を示す模式図を組み合わせ、ゲームで体験した内容と実際の研究を結びつける解説を充実させたいと思います。「どんな土が必要か」「集まった土から何を調べるのか」「何が見つかってきたのか」といった疑問に答える形で、ウェブサイトやイベント資料を整えていく方針です。研究で確認できたこと、現在調べていること、社会での活用に向けてさらに確かめる必要があることを整理し、研究の進み具合が伝わる情報公開を目指します。体験企画では、参加者が微生物や温室効果ガスについて、もともとどのようなイメージを持ち、体験を通して何に気づいたのかを聞く機会を設けたいと考えています。そこで寄せられた疑問を、次の解説や教材に取り入れ、参加者とのやり取りを重ねながら伝え方を改善していきます。
また、今回対話できた博物館・科学館の関係者の方々とのつながりを生かし、連携イベントの実現に向けた相談を進めたいと思います。例えば、ゲームによる導入、土壌や実験キットの観察、研究者との対話を組み合わせた体験会や、身近な土壌について予想を立て、研究結果と比べて考える学習企画などを検討します。社会教育では幅広い世代が参加できる内容を、学校教育では小中学生の学習や探究につながる内容を、教育の現場の方々と相談しながら具体化していきたいと考えています。研究への参加と、その後に成果を知り、考え、再び対話する機会をつなぐことで、継続して科学に関われる活動を育てていきます。地域で科学を学ぶ機会を広げ、身近な自然と地球環境のつながりを考える場をつくることを通して、研究と教育の両面から社会に貢献する市民参加型の科学活動を目指します。

当日の様子