日本のエネルギーの未来を考えよう! 風力発電実験
教育出版
9月12日(土)10:00〜18:00、13日(日) 10:00〜17:00 テレコムセンタービル 4階
出展レポート
提起した問い・目指した未来像
明日もし電気が使えなくなったら、私たちの生活はどうなってしまうのだろう? 気候変動や資源の枯渇、政情不安などで、エネルギー問題は他人事ではなくなってきた。私たちの生活を支えてくれる電気、経済活動を支えるのに必要な電気をまかなうには、いったいどのくらいのエネルギー資源が必要なのだろうか。
風力発電装置を使って電気を発生させ、発電について学ぶとともに、それが生活を支えられるだけのエネルギーになり得るか調べてみよう。
2025年に公表された国立青少年教育振興機構の調査によると、高校生の半数近くが「社会に出たら理科は必要なくなる」と回答するなど、学校での学習が自分の生活に直結しているという認識は薄いのが現状である。
教育出版は小中学校の検定教科書を発行する立場として、学習者に理科の有用性に気づいてほしい。また、自ら課題を発見し、それを解決する探究的な学習を通して、理科のおもしろさ、発見の喜びを味わってもらいたいと考えている。
そこで、発電の一形態として風力発電を取り上げ、「羽根の枚数や形状を変更し、発電効率が最も高くなる風車はどのようなものか考えよう」という課題による探究活動を企画した。本企画を体験した子どもたちが理科を楽しいと感じ、自ら学びに向かう力を涵養し、課題を解決する力を醸成することを目指した。
参加者との対話から生まれた意見や気づき
「あれっ?さっきより回らなくなっちゃったよ」「全然回らない!なんで?」目の前の風車に羽根を取り付け、どのくらい速く回るか、ワクワクしながら風車を見つめる子どもたち。
「なぜ?」「ふしぎ」「おもしろい!」ちょっとでも速く回そうと、試行錯誤しながら実験に取り組む子どもたちの姿を見て、子どもの知的好奇心は無限であることを改めて実感した。
実験は思い通りにいかないことがほとんどである。そんなとき、どうしてうまくいかなかったのか。手順をまちがえていないか。そもそも仮説がまちがっていないか。目の前の事象をよく観察し、プロセスを一つ一つ丁寧に検証して、粘り強く課題解決に取り組む力を身につけてほしい。
世界は「ふしぎ」に満ちている。そんな「ふしぎ」から課題を見つけ出し、それを解決する力を養い、未来を切り開いてほしい。私たちは、子どもたちの「なんでだろう?」「わかった!」を大切にし、育てることが未来をつくると信じ、教科書制作に取り組んでいる。目の前で目を輝かせる子どもたちを見て、それが正しいことを再確認できた一日となった。
対話を通じて得られた未来へのヒントと今後の展望
「今、日本の電気の多くは火力発電でまかなっているんですよね? でも火力発電でカーボンニュートラルを実現することは難しいですよね。バイオマス発電を取り入れて二酸化炭素の排出量を抑えることはできるのでしょうか?」
エネルギー問題に興味をもつ来場者の中には、火力発電の比重が大きい日本の発電方法の問題点や、エネルギーリソースを複数もつ必要性について指摘する人もいた。加えて、今回のワークショップをきっかけに再生可能エネルギーについて考えを深めた来場者も多かった。
一方で、自然由来のエネルギーは発電のタイミングも発電量も自然任せであり、人間の都合で調整することはできない。また、設置場所が限られることや、周囲への騒音などの新たな環境問題が生じるなど、課題も多い。
このようなトランス・サイエンスな課題について考えるとき、多様な参加者との対話が価値をもつ。
私たちが直面している社会課題を解決するために必要な、探究の力、科学的思考力を伸ばすことができる教育のエッセンスとは何かを改めて追求する所存である。そして、それらを内包した教科書をつくることで、未来を担う子どもの成長に貢献していきたい。
当日の様子