あなたのハテナが医療を変える!
日本プライマリ・ケア連合学会
9月12日(土)10:00〜18:00、13日(日) 10:00〜17:00 テレコムセンタービル 4階
出展レポート
提起した問い・目指した未来像
日本には、誰もが必要なときに医療を受けられる優れた仕組みがあります。しかし、それだけですべての人が心身ともに健やかに暮らせているわけではありません。今後、科学技術が進み、診断や治療、予防の方法がさらに発展していっても、誰もが迷わず自分に必要な医療にたどり着けるとは限りません。また、少子高齢化が進むなか、現在の社会保障制度を将来にわたって維持していくことも大きな課題です。
だからこそ、自分や家族の健康を守るために、医療はもっと身近な存在であってほしいと考えました。病気になってから初めて関わるのではなく、普段から医療について知り、わからないことを気軽に尋ね、必要なときには相談できることが大事です。プライマリ・ケアは、そんな身近な医療の「最初の窓口」です。身近な地域で、病気だけでなく予防や生活上の困りごとも含めて相談できる窓口をもっと上手に活用する。大人も子どもも、一人ひとりが自分の健康について考え、必要な支援に繋がりながら、自分らしい健康やウェルビーイングを高めていける。そんな社会を目指しました。
参加者との対話から生まれた意見や気づき
今回のブースでは、子ども向けの「しんさつたんてい」、大人向けの「医療体験カード」、プライマリ・ケアや薬局薬剤師について紹介するミニレクチャーの3つを行いました。
「しんさつたんてい」では、子どもたちが白衣を着てお医者さん役になり、症状などを手がかりに診断を体験しました。「病院でいろいろ聞かれる理由がわかった」「お医者さんはいろいろなことを考えて診断しているんだね」「家族のことを聞くのも大切なんだね」といった声があり、診察で患者から得る情報の大切さを知る機会になりました。
「医療体験カード」では、自分や家族の受診経験を振り返りながら医療者と対話しました。「どこに受診すればよいかわからない」「かかりつけ医をどう探せばよいのか」「複数の医療機関で情報を共有できないのか」といった疑問や、受診をためらった経験なども語られました。「こんなことを聞いてよいのだろうか」という声もあり、気軽に相談できる医療者の存在の大切さが見えてきました。
ミニレクチャーでは、プライマリ・ケアや総合診療の概略を説明し、厚労省の医療機関検索システム「ナビイ」の活用、調剤薬局でできることや薬剤師の役割を紹介しました。そこでは「かかりつけ医は誰が決めるの?変更してもよいの?」「マイナンバーカードではどこまで情報が見られるの?」など具体的な質問が寄せられ、プライマリ・ケアに関する疑問や困りごとが多岐にわたることがわかりました。
対話を通じて得られた未来へのヒントと今後の展望
今回は、日本プライマリ・ケア連合学会として初めて正式にサイエンスアゴラへ出展しました。市民のみなさんと直接対話し、普段感じている疑問や困りごとを聞くことは、学会にとっても新しいチャレンジでした。
今回の対話を通じて、プライマリ・ケアや総合診療そのものが、まだ十分に知られていないことがわかりました。「どこに相談すればよいのか」「かかりつけ医をどう見つければよいのか」という声は多く、身近な医療の窓口を必要としている人は少なくありませんでした。今後は、総合診療医や家庭医だけでなく、住民が必要なときに看護師、薬剤師、保健師なども含めたプライマリ・ケア・チームに出会い、繋がりやすくなる仕組みが必要だと感じました。
今の日本の医療では「情報の分散」という問題があります。診療情報だけでなく、本人が大切にしていることや、どのような医療やケアを望むのかといった情報も含め、自分自身が理解し、必要なときに医療者と共有できる仕組みを考えていく必要があります。今後はデジタル技術やPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)を積極的に活用する時代になります。こうした新しい技術を活用するうえでも、必要な情報を医療者とどのように共有していくかという課題が見えてきました。
市民の声を聞き、その声を持ち帰ることも学会の大切な役割です。今回寄せられた意見や気づきを今後の活動につなげ、必要な人が必要な医療につながり、一人ひとりの健康やウェルビーイングを支えられる、よりよい医療提供体制づくりに取り組んでいきたいと考えています。