のぞいて発見! 小さな自然観察
Peekabugs
9月12日(土)10:00〜18:00、13日(日) 10:00〜17:00 テレコムセンタービル 3階
出展レポート
提起した問い・目指した未来像
都心部であっても、身近な自然の中には、普段の生活では見過ごしてしまうような小さな生きものや世界が数多く存在している。《Peekabugs》では、「身近な自然に再度目を向け、自分自身の感覚で見つけ直すことはできるだろうか」という問いを起点に、季節の植物や花、虫、水辺の小さな生きものなどと出会い、見る・触れる・感じるといった五感を使って観察する体験を提供した。
ルーペ機能を備えたオリジナルの観察ツールや顕微鏡を使って細部を見たり、実際に手で触れて質感や形を確かめたりしながら、「どんな色に見える?」「触ってみるとどんな感じ?」「見る前と見た後ではどう感じた?」「もしこの生きものの世界に入ったら?」といった問いかけを行った。視覚だけに限定せず、身体感覚や想像も交えながら、発見・観察・想像を行き来する体験を目指した。
科学や自然観察を「すでにある知識を覚えるもの」としてだけではなく、身の回りのものにあらためて自ら問いを持ち、自分の感覚を通して発見していく行為として捉えることで、子どもから大人まで、一人ひとりの好奇心や感覚がひらかれていく未来を目指した。
実際のブースでは、180名を超える参加者に、観察して気づいたことや感じたことを紙に表現し、ボードに貼ってもらった。異なる角度や倍率から気づいた特徴を細かな文章で記録する人、実際の色にとらわれず自分の見え方を色彩で表現する子、自然との対話で感じたことを詩として残す子など、一人ひとり異なる発見や表現が生まれた。
体験後には、親子で「家に帰ったら〇〇も探してみよう」と話す姿も見られ、会場での発見が、その後の日常の自然への関心へとつながっていく様子が印象的だった。
参加者との対話から生まれた意見や気づき
会場では、子どもたちを中心に、家族連れから大人まで幅広い世代の参加者が観察体験に参加した。
特に印象的だったのは、同じ生きものを観察していても、一人ひとりが異なる部分に注目し、異なる捉え方や表現をしていたことである。また、親子で参加した方々は、出展者や家族との対話を通して、一人で観察するときには生まれなかった発見や想像へと発展していく様子も見られた。
さらに、観察ツールや顕微鏡によって普段より細部が見えるようになることで、これまで意識していなかった身近な草木や虫、水の中の小さな世界へ興味を持つ参加者も多くいた。
対話を重ねる中で、正しい名称や知識を伝えることだけではなく、参加者自身が「これは何だろう」「もっと見てみたい」と感じる瞬間をつくることが、その後の学びや探究につながっていくことを改めて実感した。
また、大人の参加者からも「普段はこんなふうに身近なものをじっくり見ることがなかった」「子どもと一緒に見ることで自分自身にも新しい発見があった」といった反応があり、観察する行為そのものが、世代を越えたコミュニケーションになる可能性にも気づいた。
対話を通じて得られた未来へのヒントと今後の展望
今回の出展を通して、身近な自然への関心を生み出すためには、特別な知識や特別な場所だけが必要なのではなく、「見てみたい」「知りたい」と思う好奇心を引き出すきっかけと、一人ひとりの純粋な発見を大切にできる環境が重要であると感じた。
《Peekabugs》のリーダーは美術作家として活動しており、科学や自然の世界をアートの表現や体験を通してひらきながら、それぞれの領域を横断し、より多くの人々へ届けていくことを目指している。
今回のサイエンスアゴラでは、子どもたちとの多くの発見や気づきの交換に加え、他の出展者や出展者交流会を通して、異なる専門性やバックグラウンドを持つ人々と出会うことができた。こうした交流を今後の活動につなげながら、分野を越えた新たな協働や展開を生み出し、「身近な自然を、自分自身の感覚や発見を通して見つけ直すこと」を、さらに多くの人へ広げていきたい。
また、さまざまな年齢や背景を持つ参加者との対話から、科学・自然・アートをそれぞれ別の分野として区切るのではなく、「気づく」「よく見る」「想像する」「楽しむ」といった人間の根本的な行為を通して、それらを横断的につないでいくことが、《Peekabugs》の役割の一つになり得ると感じた。
一人ひとりが自分自身の感覚を使って世界と出会い、「知りたい」「もっと見てみたい」「もっと感じてみたい」という気持ちを持ち帰ることのできる体験を、今後さらに社会の中へ広げていきたい。
当日の様子