301見て・さわって・楽しく学ぶ

私たちはダマされる!? ~「見る」を科学しよう~

科学読物研究会

9月12日(土)10:00〜18:00、13日(日) 10:00〜17:00 テレコムセンタービル 3階

出展レポート

提起した問い・目指した未来像

今回の企画の狙いは、「錯視」の体験を通して、科学への入り口となる「なぜ?」「どうして?」という疑問や好奇心を引き出すことです。錯視が起こる脳や目の仕組み、ものの見え方の特徴について、一人一人が考えるきっかけを提供しました。
先回りして答えを教えるのではなく、スタッフとの会話や体験型展示物に自由に触れながら、自分で仮説を立て、試し、確かめていく探究の流れに自然に入れるよう、スタッフがナビゲーターとして伴走しました。また、錯視を通して、自分自身にも知識や経験、思い込みなどによる「見方や考え方のクセ」があることに気づいてもらうことは、情報があふれる現代社会で、フェイク情報や詐欺などに惑わされないためにも重要だと考えています。
昨年の参加者から「こんなにいい科学の本がいっぱいあるなんて知らなかった!もっと前面に出してほしい」という声をいただいたことを受け、今回は科学の本の読み聞かせも行いました。読み聞かせには、普段手に取らないジャンルの本との出会いや、読み手の声、友だちと一緒に楽しむ一体感など、集団ならではの魅力があります。終了後も展示本を自由に手に取れる場を設け、「なぜ?」「どうして?」という興味を科学の本との出会いへとつなげました。
科学読物研究会は、2012年、2013年に「サイエンスアゴラ賞」を連続受賞し、その後もさまざまな場で実践を重ねてきました。活動を通して科学の芽を育て、そのタネを家庭や地域、社会へと広げていくことを目指します。

参加者との対話から生まれた意見や気づき

当会のブースの特徴は、手にとって見たり動かしたりできる体験型の展示と、科学教室や学校での理科支援・司書としての指導経験を持つスタッフが、来場者の「どうして?」「なぜ?」という疑問や好奇心を引き出し、対話を重ねながら体験を深めていく点にあります。さらに、工作や本の紹介を通して、体験を多面的に深めることができます。
今回は、手のひらに穴が開いてみえる「魔法の筒」を最初に体験することで、「えっ!」という驚きを「どうして?」という疑問につなげました。さまざまな錯視を体験する中でも、スタッフが一方的に説明するのではなく、来場者の反応や疑問に応じて会話を重ねることで、展示を「見る」だけでなく、自分で考え、確かめ、仕組みを知りたいと思う体験へと発展させることができました。
そして、体験型展示を楽しんだ後には、逆遠近錯視を利用した「キョロ目ちゃんファミリー」の工作を行いました。「どうして目で追ってくるように感じるの?」といった疑問をきっかけに、工作の仕組みと展示とのつながりを説明することで、体験したことをさらに深く考える対話が生まれました。
約10年ぶりに実施した科学の絵本の読み聞かせでは、子どもたちの反応に応じて声を出したり考えたりする観客参加型の構成とし、双方向のやり取りを楽しみながら科学の本に触れる機会をつくりました。「次の回も来ます!」という声や、4回連続で参加する子も見られ、科学への興味を育てる手応えを感じました。保護者からも、読み聞かせた本を親子でもう一度読めることや、関連する本の多さへの驚きなどの声があり、会場での体験を家庭での会話や継続的な読書につなげることができました。
今回の出展を通して、「驚く→疑問を持つ→対話する→自分で考える→さらに興味を持つ」という流れを大切にすることで、来場者自身の気づきや好奇心を引き出し、科学を身近で楽しいものとして感じてもらうことにつながると改めて確認できました。

対話を通じて得られた未来へのヒントと今後の展望

検索すれば簡単に欲しい情報が得られる一方で、大人も子どもも、実物を見たり、手を動かしたりする体験が不足していると感じました。身の回りには、まだまだ面白いことや不思議なことがたくさんあります。「そんなの知ってる」と言われることを恐れず、「今日は実物を見た、体験した日」にしようと、これからもさまざまな体験を紹介し、大人も子どもも一緒に驚き、楽しめる機会をつくっていきたいと思います。
また、絵本も、AIが読み聞かせてくれる電子版などがある一方、紙の本を手でめくり、信頼できる人の声を聞きながら、ぬくもりを感じて楽しむことには、紙の絵本ならではの良さがあります。子どもたちには、そうした実物ならではの体験や、誰かと一緒に楽しむ時間を大切にしてほしいと考えています。

当日の様子