日程: 2016年11月3日(木・祝)~6日(日)
10:00ー17:00(最終日は一部を除き16:00まで)
Date: Thu 3, Fri 4, Sat 5, Sun 6 November, 2016
サイエンスアゴラは2006年の第1回から回を重ね、昨年で10回目を迎えることができました。この場をお借りして、サイエンスアゴラをこれまで支えてくださった皆様方に深く感謝申し上げます。
さて、2011年の東日本大震災から早5年の月日が経過致しました。被災地では今も多くの方々が復興と新しい社会の創生に向けて日々努力を重ねられています。私たちは、震災によって自然の脅威に対して科学技術だけでは解決できないことがあまりにも多いことを改めて学びました。私たちはこの震災で何を克服したのか、また何を解決できず、残された課題は何なのか、この節目の年のサイエンスアゴラを開催するにあたり、改めて現実と真摯に向き合い、対話する場にしたいと考えています。
サイエンスアゴラは、「つくろう、科学とともにある社会」をビジョンとして掲げています。このビジョンには、「あらゆる人の力で、社会のために科学を変革し、対話を通じて社会の期待に応えながら、これからの社会をつくり進めたい」との思いがこめられています。科学を変革するのも、社会の期待に応えるのも、主役はあらゆる人たちです。
科学技術振興機構が目指す「未来共創イノベーション」は、科学の知を社会的な価値に転換していくことにより、近未来の社会をより希望に満ちたものにしようとの心から掲げられました。これには多くの皆様との協力が不可欠です。サイエンスアゴラは、対話を通じて科学と社会のこれからを皆で考え、相互理解、信頼、そして協力を生み出す場です。私たちは、未来共創イノベーションを目指し、これまでに以上に多くの皆様と共にサイエンスアゴラを育てていきたいと考えています。
サイエンスアゴラが、国内外で活動するさまざまな人たちが集い、社会と科学技術の未来について共に考え、語り合い、未来の社会をつくり進める広場となるよう、力を合わせていきましょう。
国立研究開発法人科学技術振興機構
理事長 濵口道成
つくろう、科学とともにある社会
科学は、産業構造や市民生活に大きく影響を及ぼし、政治、経済、産業、芸術、教育などとともに、社会を構成する要素としてますます重要になってきました。一方、気候変動や感染症の危機、資源や食料の持続可能性、経済格差や少子高齢化などの社会問題が顕著になり、さまざまな社会からの要請が科学のあり方に大きく影響するようになりました。
サイエンスアゴラは、「つくろう、科学とともにある社会」をビジョンとして掲げています。「科学は社会のものである」という認識にもとづき、科学者とその関係者は社会の課題に応える科学技術を誠心誠意発展させるよう努め、科学の世界を変えるだけでなく、社会をさまざまな人たちと共につくる存在でありたいという願いが込められています。
サイエンスアゴラは、このビジョンを共有した人々が集まり、行動している人がお互いの活動に関心を持ち、仲間を募り、発展させていく場となることを、さらには行動をおこそうとしている人が具体的に一歩を踏み出す場にもなることを願っております。
このビジョンを実現するために、あらゆる人が当面(5年程度を視野に)共有しなければならない課題は、(1) 「科学によって変わる社会」、(2) 「社会によって変わる科学」、(3) 「リスクとの調和」です。これらの課題は、先端科学が社会を大きく変えつつあるという時代への認識だけでなく、社会が科学のかたちを大きく変えつつあるという時代への認識、さらにリスクと利益を調和させられる文化・風土がますます重要になるという時代への認識、この3つの時代認識に立脚しています。
社会は科学によって変化しつづけています。ICTやバイオテクノロジーなどさまざまな技術の発達が、社会の制度・文化を世界規模で大きく変えつつあります。ときには強い勢いで、ときには静かに、旧習の破壊と新しい文化の創造が進んでいます。科学が社会に与えるインパクトについて、恩恵も脅威も共有し、どのような世界に生きたいかを問い、話し合い、協力を生み出す必要性が今まで以上に高まっています。未来社会への責任ある参加を促す建設的な活動の種をまき、育てましょう。
科学は社会によって変化します。社会の隅々に浸透した情報ネットワークと地球規模で接続された不確定性の高い社会問題の増加が、科学という営みに与える影響の大きさは計り知れません。また、科学が社会のさまざまな分野に入り込み、そのかたちを変えています。科学の進め方も変わらなければなりません。キーワードは「オープン&フラット」です。従来の特定のコミュニティに閉じた科学的な活動が、もっと広く社会からの参画を得て、皆が一緒に考える活動により、新しい価値を創りだす力はますます大きくなります。領域・コミュニティの境界を超えた挑戦的な活動の種をまき、育てましょう。
2016年は、上記認識の下、3つのテーマ (1) 「先端科学が生み出す新しい 医・食・くらし」、(2) 「教育・文化芸術・スポーツと科学との協働」、(3) 「震災復興5年に学ぶこれからの科学の役割」に重点を置きます。私たちの生活の根幹を成している医療、食料、くらしのための科学をはじめ、教育・文化芸術・スポーツに関する科学技術のフロンティア、さらに5年間の震災復興における東北を中心とした取り組みを伝え合い、グローバルな視野で今後の社会を考えます。
先端的なICTインフラの整備(マイナンバー制度など)は私たちの医療、食、くらしをどのように変えるのでしょうか。ICT基盤の発達により、私たちは全国各地域のつながりや、グローバルなつながりを日常生活においてより強く感じます。今年、私たちの生活の根幹を成す医療、食料、くらしのための科学に関わる新しい取り組みを伝え合い、今後の社会を考えましょう。
2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。これに向けて、社会から科学への期待はますます高まっています。科学は、この期待を受けて、教育、文化芸術、スポーツとの協働により、どのように変革されるのでしょうか。協働の最前線で行われている取り組みを伝え合い、今後の社会を考えましょう。
これまでの開催報告書は、下記のリンクからご覧ください。