未来の共創に向けた社会との対話・協働の深化

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対話協働

2022年度
「STI for SDGs」アワード 
受賞取り組み紹介

Vocagraphy!(ボキャグラフィー)

団体名:株式会社ブルーライトワークス

<取り組み概要>

 新生児における先天性難聴は1,000人に1人程度の割合で出現すると言われている。低年齢の子どもにおいては、聴覚障害で耳からの情報に制約があることで言語発達が遅れると情緒や社会性の発達にも影響が生じかねないため、新生児スクリーニング検査による早期発見と、言語聴覚士などによる適切な療育が重要である。特に語彙の獲得においては日々の体験と言葉をつなげる必要があり、家庭学習が不可欠となる。

 本取り組みでは、スマートフォンで楽しく言葉を覚えることができる難聴児向けアプリ「Vocagraphy!(ボキャグラフィー)」を開発し、無償で国内外に提供している。同アプリは、リリース以来2年半ほどで1万7千件以上ダウンロードされている。アプリの開発者は、自らが難聴児の親という当事者の立場にあり、市販の学習用の教材も試したものの、本当に身近な言葉をより楽しみながら、できる限り多く習得させたいとの思いから本アプリの開発に至った。このアプリでは、利用者自らが撮影した写真と写真に合わせたテキストで学習用のカードを自作し、アプリに登録する。写真撮影やテキスト入力は保護者と子どもが一緒に行うことができ、教材としてのカード1枚1枚にそれを作成する過程の経験がひも付く。現在は無償版に加え、動画も利用可能な有償版「Vocagraphy+(ボキャグラフィー・プラス)」もリリースしている。また、多言語対応や「デジタルことばプラットフォーム」としてカードやプロトコルの規格を定め、展開を促進することも計画している。

  • (デジタル化された学習カードを自由に作ることができる)
  • (フォルダを使った分類で言葉の上位概念を理解)
<受賞理由>

 本取り組みで開発されたアプリは、自ら撮影した写真を使用し学習すべき内容を入力するというプロセスを重視している。すなわち、難聴児が自分の周囲の世界と言葉を一致させていく過程に親子での体験をひも付けて世界を広げていく、というアプローチが取られており、経験に基づいた高いストーリー性を持った取り組みである。多言語化や展開推進に向けての規格作りなど、課題解決への熱意も高く「誰一人取り残さない」というSDGsの基本理念に沿った取り組みである。主としてSDGs目標4、10の達成に貢献するものであり、かつ他の目標達成を著しく損なうことのない活動として、選考委員会において優秀賞にふさわしいと判断された。

  • (体験にひも付けた教材で楽しく言葉を覚える)
  • (当事者向けのワークショップや講演も実施)
<取り組み紹介動画>

受賞者による取り組み紹介(サイエンスアゴラ2022 ミニステージイベントにて)
イベント全編はこちらでご覧いただけます(前半:各団体の活動紹介ピッチ,後半:トークセッション)


受賞者による取り組み紹介(エコプロ2022 ミニセミナーにて)

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