未来の共創に向けた社会との対話・協働の深化

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対話協働

2022年度
「STI for SDGs」アワード 
受賞取り組み紹介

ネリカ米栽培技術研究、そしてザンビアの孤児院への食料支援プロジェクト

団体名:新潟県立佐渡総合高等学校
農産・加工系列

<取り組み概要>

 SDGs目標2に掲げられている「飢餓をゼロに」は、日本国内においては一定の解決を見ているものの、世界では約8億人がいまだに飢餓で苦しんでいる。また、紛争、新型コロナウイルス感染症、気候変動および不平等の解消の遅れなどから、近年は世界全体の食糧安全保障が弱体化の傾向にある。

 本取り組みは、高校で農業を学ぶ生徒が、学校の授業でSDGsやアフリカ・ザンビアのストリートキッズについて学んだことをきっかけに、「社会課題の解決のために自分たちができることは何か」と考えた結果から始まっている。飢餓問題解決のために開発された陸稲である「ネリカ米」の栽培に挑戦し、収穫した米をアフリカの孤児院に寄付している。

 農業が主要産業である佐渡では、トキを守るため、稲作栽培において、減農薬、減化学肥料が推奨されている。その農業手法は「世界農業遺産(GIAHS)」に登録されている。同校の生徒たちは、その農法を活用し、やはり社会課題解決のために開発されたネリカ米の無農薬、無肥料での栽培に取り組み、試行錯誤のうえ収穫に成功した。

 その米をザンビアの2ヵ所の孤児院に贈った。ネリカ米の種の入手や託送などにおいては、国際協力機構(JICA)やNPO法人の協力を得て、この取り組みを実現させた。今後、生徒たちが研究した栽培方法を元に、贈り先の孤児院でも自ら栽培が可能になるよう協力を続けていくことを計画している。

  • (試行錯誤を重ねながら無農薬・無肥料での栽培方法を研究)
  • (アフリカでの食糧難解消のために開発された陸稲 ネリカ米)
<受賞理由>

 本取り組みは、農業を学ぶ高校生が、自ら学んだ知識と地域で検証を重ねて確立されてきた農業手法を活用し、世界の社会課題解決に挑戦するものである。環境負荷の低い農法と、社会課題解決のために開発された稲の品種を科学的なプロセスを経て活用している。また、単に寄付を行うだけではなく、寄付した先での新しい行動を促せるよう、自身の研究成果を活用してもらうための活動も計画されている。高校生の立場で、主としてSDGs目標2、17の達成への貢献に挑戦する積極的な取り組みとして、選考委員会において次世代賞にふさわしいと判断された。

  • (栽培した稲を皆で収穫)
  • (寄付先の孤児院の子供たちとも交流)
<取り組み紹介動画>

受賞者による取り組み紹介(サイエンスアゴラ2022 ミニステージイベントにて)
イベント全編はこちらでご覧いただけます(前半:各団体の活動紹介ピッチ,後半:トークセッション)


受賞者による取り組み紹介(エコプロ2022 ミニセミナーにて)

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