未来の共創に向けた社会との対話・協働の深化

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対話協働

2022年度
「STI for SDGs」アワード 
受賞取り組み紹介

最優秀次世代賞

炭酸ナトリウムの洗浄剤への転換~おむつ灰の再資源化を目指して~

団体名:愛媛県立西条高等学校 SSHセスキ合成班

<取り組み概要>

 愛媛県西条市では、県内11市の中で市民一人あたりのごみ排出量が最多を記録することがたびたびあり、ごみのリサイクル率も低い傾向にあるという課題を抱えている。一方、同市内に紙おむつ工場を保有する花王株式会社(以下、花王)は、京都大学との連携により、使用済みおむつの炭素化リサイクルに取り組んでいる。本取り組みは、このような環境の中、花王からの同校への働きかけをきっかけに、「西条市のごみ問題を私たち西条市民で解決する」という思いを持って生徒が始めたものである。

 使用済み紙おむつの炭素化における最終段階で得られる「おむつ灰」は、主成分に炭酸ナトリウムを持つ。本取り組みはこの点に注目し「おむつ灰」の活用のため、炭酸ナトリウムを成分が似ているセスキ炭酸ナトリウムへ転換することを目指したものである。セスキ炭酸ナトリウムはアルカリ性洗浄剤として広く知られているが、自然界に豊富に存在するため合成事例は極めて少ない。本取り組みでは、花王や京都大学の研究者の支援を受けながら、市販されているセスキ洗浄剤と同等の洗浄能力を持つセスキの合成方法を確立した。同校には商業科も併設されていることから、今後は、この合成方法の特許を申請するとともに、商業科との連携で西条高校産再資源セスキの販売を目指している。

  • (おむつ灰の主成分であるセスキ炭酸ナトリウムから選択的にセスキを取り出す方法を研究)
  • (実際に使用している実験器具)
<受賞理由>

 本取り組みは、高校生が自主的に地域の社会課題に目を向け「地域の社会課題は市民の手で解決する」という強い意志を持って行われているものである。企業や大学の支援もあってこその活動だが、そこで受けた支援を十分に生かし、自主的かつ高度な研究活動を行っている点を高く評価した。また、その活動を学校全体で組織的に発展させていく姿勢も評価に値する。主としてSDGs目標9、11および12の達成に貢献し、さらに次世代を担う高校生の活動として特に優れたものとして、選考委員会において最優秀次世代賞にふさわしいと判断された。

  • (企業の方とも何度も打ち合わせを実施)
  • (活動の様子)
<取り組み紹介動画>

受賞者による取り組み紹介(サイエンスアゴラ2022 ミニステージイベントにて)
イベント全編はこちらでご覧いただけます(前半:各団体の活動紹介ピッチ,後半:トークセッション)

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