未来の共創に向けた社会との対話・協働の深化

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対話協働

2022年度
「STI for SDGs」アワード 
受賞取り組み紹介

高効率な炭素固定と有機肥料活用を両立可能な”高機能ソイル”の開発と普及

団体名:株式会社TOWING

<取り組み概要>

 SDGs目標2「飢餓をゼロに」の達成のためには持続可能な農業の実現も重要であるが、一方で生産性を重視した化学肥料の多用は、地球環境や耕作土壌環境へ悪影響を及ぼし、結果として持続可能な農業を阻害するというトレードオフを引き起こしている。また、かねてより農業由来の温室効果ガスが環境に及ぼす影響にも注目が集まっており、その解消のために数々の取り組みが行われている。

 本取り組みでは、農業・食品産業技術総合研究機構(以下、農研機構)が開発した多孔体への土壌微生物付加・定着技術と、株式会社TOWINGの独自技術である多孔体製造・処理技術や微生物培養技術などを融合した「高機能ソイル技術」を開発・実用化し、持続可能な農業の実現と農業由来の温室効果ガス削減を目指している。

 「高機能ソイル技術」は、もみ殻燻炭(もみがらくんたん:もみ殻を蒸し焼きにして炭化させたもの)や木炭などのバイオ炭に土壌由来の微生物を活性・定着させることで、通常3~5年かかる良質な土壌作りを1ヵ月程度で可能にしている(同社調べ)。この技術は、耕作不能土壌から耕作可能土壌への転換、連作障害や農作物の発病の抑制による総収穫量の向上、化学肥料から有機肥料への転換などの実現を容易にするものである。また、バイオ炭の炭素固定性能の向上により、効率的な地中への炭素固定も可能にしている。

  • (バイオ炭の中に有用な土壌微生物を培養)
  • (CO2を固定したバイオ炭を農地に還元し、国の「みどりの食料システム戦略」に貢献)
<受賞理由>

 本取り組みは、農研機構が開発した高度な技術を活用し、持続可能な農業の実現に 挑むものである。大学発ベンチャーとしての強みを生かし、優れた技術開発を行っている。その活動においては、持続可能な食料システムの構築のための国の目標と、生産性 の向上や収益の安定化を重視する農業従事者の視点のミスマッチの解消をも強く意識している。今後の事業拡大に向けた戦略も精緻に検討されており、将来的に国内のみならず海外、特に途上国の農業生産性向上にも大きな貢献が期待される。技術力とビジネス戦略のバランスがよく、主としてSDGs目標2、13の達成への大きな貢献につながるものであり、かつ他の目標達成を著しく損なうことのない活動として、選考委員会において文部科学大臣賞にふさわしいと判断された。

  • (将来は宇宙での農業の実現を目指す)
  • (TOWING社メンバー)
<取り組み紹介動画>

受賞者による取り組み紹介(サイエンスアゴラ2022 ミニステージイベントにて)
イベント全編はこちらでご覧いただけます(前半:各団体の活動紹介ピッチ,後半:トークセッション)


受賞者による取り組み紹介(エコプロ2022 ミニセミナーにて)

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