未来の共創に向けた社会との対話・協働の深化

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対話協働

2019年度
「STI for SDGs」アワード 
受賞取り組み紹介

汚水処理の持続性向上に向けた高知家(こうちけ)の挑戦~産官学による新技術開発と全国への展開~

団体名:高知大学、香南市、高知県、
前澤工業株式会社、日本下水道事業団

<取り組み概要>

 高知県は汚水処理人口普及率が全国ワースト3位。さらに人口減少や厳しい財政状況に直面しており、汚水処理施設の普及および持続性向上が地域課題であった。

 本取り組みでは、まず、高知大学が反応タンク内に設置した溶存酸素濃度計を用いて、送風量と循環流速を自動制御する汚水処理新技術「オキシデーションディッチ法における二点DO制御システム」を研究開発。その基盤技術を産官学の連携により実用化できるところまで開発した。

 同技術は香南市野市浄化センターで電力を3分の1、処理時間を半分に減少し、処理コストも削減できることを実証。この結果を踏まえ、同市内で本技術を2ヵ所に導入した他、さらに他の自治体へも水平展開を行っている。これにより、人口減少が進む地方都市における汚水処理の持続性を向上させた。

  • 「オキシデーションディッチ法における二点DO制御システム」(受賞者より提供)
  • 実用化に向けて実証実験(受賞者より提供)
<受賞理由>

 地道な研究で確立された基盤技術を、産官学の共創により実用化につなげ、汚水処理能力の向上、持続可能なまちづくりを実現した好事例であり、優秀賞にふさわしい。また、本取り組みでは、開発された新技術の成果が既に実証されており、日本各地への展開も開始されている。科学技術イノベーションの活用、展開性においても大いに評価できる。

  • 5団体が産官学で連携(受賞者より提供)
  • 香南市の処理統合計画(受賞者より提供)
<取り組みへの思い>

 基礎技術を研究開発した高知大学教授の藤原拓さんは、汚水処理新技術「オキシデーションディッチ法における二点DO制御システム」について、わかりやすく説明してくれた。

 「通常、汚水処理場では水槽の微生物で汚れを分解していますが、空気を送る量を最適化できていませんでした。そこで水槽の2カ所に酸素濃度計を入れて、一方で空気を送る量を、もう一方で水を回す流速をコントロールすることで、常に酸素があるゾーンとないゾーンを作りだし、無駄な空気を送ることを制御しました。これにより、実験では今まで24時間かかっていた処理が12時間でできるようになりました。つまり、同じ汚水処理場で倍の汚水処理ができるわけです。これを応用して、人口が減少する地域で汚水処理場の統廃合が可能となりました」

  • 香南市の汚水処理場(受賞者より提供)
  • 高知大学教授の藤原拓さん
<取り組み紹介動画>

取り組み紹介動画「高知家 水インフラの挑戦」


受賞者による取り組み紹介(サイエンスアゴラ2019 ピッチトークイベントにて)

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