未来の共創に向けた社会との対話・協働の深化

文字サイズ

© Department for Promotion of Science in Society 2014 - 2018 Japan Science and Technology Agency.

対話協働

2019年度
「STI for SDGs」アワード 
審査結果

染色排水の無害化を切り拓く最先端の草木染め

団体名:北陸先端科学技術大学院大学、山梨県立大学

<取り組み概要>

 化学染料の染色廃液による水質汚染は世界的に解決すべき社会課題だ。しかしながら、天然染料は化学染料とは異なり、染色工程の所要時間や耐光性などが実用上の障壁となっていた。

 この取り組みでは、量子電磁力学的学理に基づき、天然色素と繊維間に働く分子間力を最大化する技術を用い、染色時間を短縮し、高耐光性を持つ実用性の高い染色技術を開発した。この技術を応用して、地元石川県の廃棄農作物を用いた天然染料を創り出し、地域の伝統産業「加賀友禅」の染料を化学染料から天然染料へ移行。染色排水の無害化を実現した。

 また、科学者、農家、伝統工芸師など40組織、100名超の協力者と共創関係を構築し、新たな地域共創の枠組みとビジネスモデルを生み出している。さらに国際会議を自ら主催して成果やビジョンを発信するなど、国際的プレゼンスの向上とともに、事業推進のための組織づくりも積極的に推進している。

  • 桜で染色をした草木染め加賀友禅のストール(受賞者より提供)
  • 「液体シリコン」の応用で「草木染め」を実現(アワードピッチトーク資料より)
<受賞理由>

 150年続く化学染料に基づく染色文化・産業を水質汚染の制約から解放する、という新たな潮流を生み出している革新性、独創性、展開性を高く評価。また、天然染料への移行による染色排水の無害化が環境問題の解決に貢献するだけでなく、草木染めという伝統産業の復活・拡張や地元農家との協力など、新たな地域共創の枠組みが創出され、伝統文化や農業の衰退という地域の社会課題解決につながっている。SDGsの複数の目標達成につながる活動で、文部科学大臣賞にふさわしい。

  • 伝統文化の衰退という社会課題の解決へ、新しい切り口で挑む(受賞者より提供)
  • 地元農家との協働による廃棄農産物の有効活用で、フードロスの削減にも貢献(受賞者より提供)
<取り組みへの思い>

 今回の取り組みに関わった北陸先端科学技術大学院大学・講師の増田貴史さんと山梨県立大学国際政策学部国際コミュニケーション学科・准教授の杉山歩さんは取り組みへの思いを次のように語ってくれた。

 「僕たちが一番苦労したのは、技術よりも共創環境を如何につくるかでした。多様性のある人が集まって、対話ができるプラットフォームをつくることで、何か新しいものをつくっていけたら面白いと考えています」

 「草木染めは環境に優しいからいい、ではなく、桜で染めた服を着てお花見するのはカッコイイ、そういう価値感を大事にしたいと考えています。何をつくるかより、どんな社会をつくるかと言うビジョンを優先すべきで、そういうビジョンを実現するために必要な技術を研究したいと思っています」

  • 北陸先端科学技術大学院大学・講師の増田貴史さんと、山梨県立大学・准教授の杉山歩さん
  • 共立女子大学とのコラボレーションによる、草木染めドレスのファッションショー
<取り組み紹介動画>

取り組み紹介動画「染色排水の無害化を切り拓く 最先端の草木染め」


受賞者による取り組み紹介(サイエンスアゴラ2019 ピッチトークイベントにて)

ページの先頭へ