| チームリーダー ： |
川﨑 忠寛【一般財団法人ファインセラミックスセンター ナノ構造研究所 主任研究員】 |
| サブリーダー ： |
野間口 恒典【株式会社日立ハイテクノロジーズ 電子顕微鏡第一設計部 技師】 |
| 中核機関 ： |
一般財団法人ファインセラミックスセンター |
| 参画機関 ： |
株式会社日立ハイテクノロジーズ
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- Ⅰ．開発の概要
- 走査電子顕微鏡に装着し、球面収差と色収差を同時に補正することで高分解能化できる日本発の電界型コレクタを開発する。顕微鏡の加速電圧やレンズ先端との距離の変更にも対応でき、焦点深度を拡大することで、多様な試料の観察を可能とする。さらに、操作性を向上することにより、広く世界に普及しうる革新的な要素技術の創出を目指す。
- Ⅱ．開発項目
- （１）円環・円孔電極
- 円環電極と円孔電極を一体加工する方法を確立し、両者間の位置ずれを1 μm以下に抑えた。
- （２）電極組込機構
- 4組の電極セットを同時に導入可能な機構を開発し、実験条件に合わせて適宜選択して使用できることを確認した。
- （３）位置調節機構
- ステッピングモーターを用いて、高精度に位置合わせができる機構を開発した。収差補正電極の抜き差しに伴う位置再現性は2 μm以下であった。
- （４）軸検出・調整制御機構
- 2次電子像を用いた軸調整手順を考案し、数分程度で調整が可能となった。また制御用のソフトウェアを開発した。
- （５）性能評価実験
- 開発した収差補正器を用いることにより、空間分解能が加速電圧30 kVにおいて1.2 nmから0.7 nmに、加速電圧1 kVにおいて3.0 nmから1.5 nmにそれぞれ向上することを確認した。また0.1 kVの低照射電圧条件（ワーキングディタンス1.0 mm）においても、像質の改善を確認した。
- Ⅲ．評 価
- 本課題は、走査電子顕微鏡の球面収差と色収差を、円環・円孔電極からなる収差補正器によって改善する手法の実証を行うものである。電極の加工精度と位置調整精度を高める開発を行うことで、目標であった空間分解能の向上に成功した。本手法は、走査電子顕微鏡の性能を簡単に改善できるため、ユーザーとしては利用したい機能であろう。
今後は、補正器の性能評価をより定量的に行うなどして、まだ確立できていない本収差補正方式の最適条件を解明し、空間分解能のさらなる向上を目指すとともに、観察対象に対応した測定条件の自動設定など、ユーザーの利便性に配慮した開発を図ることを期待する。
本開発は、当初の目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する。［Ａ］
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