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資料4

開発課題名「オンサイト蛍光偏光イムノアッセイ装置の開発」

(平成28年度採択:最先端研究基盤領域 先端機器開発タイプ)

チームリーダー :  渡慶次 学【北海道大学 大学院工学研究院 教授】
サブリーダー :  重村 幸治【Tianma Japan株式会社 開発本部研究開発部 部長】
中核機関 :  北海道大学
参画機関 :  Tianma Japan株式会社、東北大学
T.開発の概要
 食品中の抗生物質や合成抗菌剤、カビ産生毒素や細菌産生毒素などを迅速、簡便に検出できるオンサイト蛍光偏光免疫分析装置を開発する。液晶素子とイメージセンサーを組み合わせることで、小型・安価・多サンプル同時測定が可能な装置が実現する。これにより、既存の食品分析分野のみならず、セントラルキッチンなどにおけるオンサイト分析や他との区別化によるブランド力強化などの、食品分析に関する新しい分野の創出が期待できる。また、医療診断や環境分析への応用も十分期待される。
U.中間評価における評価項目
(1)基本検証機の製作
 液晶素子製作や特性確認について、従来品の透過率7 %に対して、透過率40 %、偏光純度(コントラスト)400に対して、偏光純度800を達成した。検出アルゴリズムの検討は、液晶素子への入力関数が偏光度測定に及ぼす影響の理論的検討手法を確立し、異なる積算方式(一括と逐次)によるノイズ低減の理論的検討手法も確立した。基本検証機に搭載するイメージセンサー用の測定プログラムを作成し、連続データ取込を実現した。
(2)基本検証機の機能評価終了
 基本検証機でフルオレセイン水溶液(1×10-5〜1×10-10 M)の蛍光測定を行い、いずれの濃度においても目標の繰返精度を達成し、従来装置と基本検証機と検出下限値(フロオレセイン水溶液:1×10-10 M)が同等であることを確認した。
(3)対象物質に応じた分析法の確立
 4サンプル同時測定可能な標準チップの検討を行い、分析検証チップを試作し、モデル試料での4サンプル同時測定を達成した。食品前処理と標準チップのインターフェイス検討については、コロイド水溶液及び血液を用いて評価した。
V.評 価
 本課題は、サンプルの蛍光偏光度を高速に測定し、食品中の抗生物質などを検出する携帯型装置の開発である。主な技術的課題である液晶素子は、目標数値を上回る性能を達成しており、開発の進捗は順調であると判断できる。今後は、開発装置として組み上げ、目標とする性能を実現できるか、さらには小型化、低価格化できるかが重要である。ユーザーとの共同開発を進めながら、開発を着実に進めるべきである。[A]