チームリーダー : |
荻 博次【大阪大学 大学院工学研究科 教授】 |
サブリーダー : |
野中 知行【サムコ株式会社 開発部 課長代理】 |
中核機関 : |
大阪大学 |
参画機関 : |
サムコ株式会社、日本工業大学 |
- T.開発の概要
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世界で初めて開発に成功した無線・無電極圧電振動子センサーの原理を基盤とし、MEMSプロセスを駆使して温度補正を必要としない超高感度水晶振動子センサーを開発する。これは従来の振動子センサーの数万倍の質量感度を持つ素子であり、バイオセンサー、ガスセンサー、呼気センサーとしての革新的な要素技術となり、健康・安心・安全な社会に多大に貢献することが期待される。
- U.中間評価における評価項目
- (1)MEMS振動子センサーのプロセス開発
- 基本周波数1000 MHzのMEMSセンサーの基本設計を完成し、薄い犠牲層形成プロセスを確立した。また、短時間に細長いピラー加工を実現し、短時間でSiウェーハエッチング除去するプロセスを確立した。中間目標を上回る成果であった。
- (2)バイオマーカーの検出
- 高周波振動モードから膜厚、粘性係数、剛性率の変化をモニタリングできるソフトウェアを開発した。また、ある周波数領域では牛血清中よりCRPの検出を実現し、中間目標を達成した。
- (3)ガスセンサーの開発
- 低濃度のガスフローシステムを確立した。また、サンプルとして酢酸ブチルを使用して開発したセンサーでの応答を測定した。
- V.評 価
- 本課題は、水晶振動子の薄型化と無線・無電極で非接触発信性能を備えた簡便、高感度MEMS水晶振動子センサーの開発で、診断・創薬・環境などに応用しようとするものである。
マイクロ流路の設計やウェーハ貼付手法の検討、マイクロ流路の加工などのセンサーのプロセス開発に工夫を重ね、当初目標を上回る基本性能を達成したことは高く評価できる。また、実用評価に向けたバイオマーカー検出・ガスセンサー開発では、それぞれサンプル試料による検出を実現している。
今後は、本センサーが現状の検討分野のみならず多様な領域に応用展開が期待されることから、デバイスのさらなる高性能化を図るとともに、本センサーを生かすための分野を定めて周辺特許戦略を練るなど、着実に開発を推進すべきである。[A]
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