資料4

開発課題名「汎用・普及型超解像顕微鏡の開発」

(平成27年度採択:最先端研究基盤領域 先端機器開発タイプ)

チームリーダー :  池滝 慶記【オリンパス(株)技術開発統括本部 主任研究員】
サブリーダー :  熊谷 寛 【北里大学 医療衛生学部 教授】
中核機関 :  オリンパス(株)
参画機関 :  北里大学、NTTアドバンステクノロジ(株)、筑波大学
T.開発の概要
 近年、超解像顕微鏡法はライフサイエンス分野における基盤計測技術として注目されているが、その装置は複雑かつ高精度の光学システムを必要とし、保守管理が難しく、普及性に乏しい高価格商品となっていた。そこで本課題では、超解像顕微鏡法の普及を目指し、既存のレーザー顕微鏡に装着するだけで超解像を実現できる位相板の開発を中心に、多くのユーザーが簡便に利用でき、なおかつ、ニーズに合致した汎用・普及型の超解像顕微鏡を開発する。
U.中間評価における評価項目
(1)蛍光抑制効果の定量評価
 690 nm-850 nmの蛍光抑制効果の反応速度のマップ化を完了した。ある種の蛍光タンパク質の場合、凝集状態では蛍光抑制効果が効かなくなる場合があるという現象を見いだした。
(2)超解像位相板の開発
 ポンプ光λ/7、イレース光λ/10の精度の最適化設計まで実施した。
(3)多波長光源システムの開発
 ポンプ光、イレース光の各3波長ビーム特性は、先頭値出力・繰返し周波数・パルス時間幅の全てにおいて、中間目標を上回った。
(4)倒立型超解像顕微鏡装置の開発
 空間分解能(横分解能)70 nmを実現し、中間目標を達成した。
V.評 価
 要素技術タイプで開発した 統合光路照明法(2波長対応の超解像位相板を既存レーザー走査顕微鏡に挿入するだけで超解像顕微鏡観察が可能となる)に多波長光源を導入し生物用普及型の超解像顕微鏡を開発する課題である。
 超解像位相板の開発は、一部目標未達であるが、蛍光抑制効果の定量評価、多波長光源システムの開発は順調に進捗し、開発した倒立型超解像顕微鏡装置の空間分解能は中間評価時点の数値目標を達成した。
 今後は、実用化に向けた課題を早急に解決し、ユーザーニーズに合った価格、機能等を考慮した製品化戦略を構築すべきである。また、超解像画像データを学会、論文等に積極的に公表することも重要と考える。[A]