資料4

開発課題名「局所的太陽電池評価用光起電力顕微鏡の開発」

グリーンイノベーション領域 機器開発タイプ

開発実施期間 平成24年10月〜平成28年3月

チームリーダー :  伊藤貴司【岐阜大学 工学部 電気電子・情報工学科 准教授】
サブリーダー :  阿久根智【(株)島津製作所 分析計測事業部 産学官・プロジェクト推進室 担当課長】
中核機関 :  岐阜大学
参画機関 :  (株)島津製作所
T.開発の概要
 使用が容易で迅速な評価が可能な、各種太陽電池の局所的な接合特性(界面特性)や光起電力特性の評価を可能とする評価装置「光起電力顕微鏡」を開発する。また、分光感度特性の局所的評価を可能とする技術開発を行い、その機能向上を図る。本課題により、上記の評価装置が太陽電池開発に携わるユーザーに利用され、高効率化を阻む要因が明らかになることで、高効率太陽電池の実現に貢献することが期待される。
U.開発項目
(1)光起電力顕微鏡の開発
 局所的電流−電圧特性マッピング評価技術を確立し、プロトタイプ機を開発した。また、開発した空間分解能30 nm以下のプロトタイプ機を用い 局所的発電特性を評価した。変換効率の異なるa-Si:H薄膜太陽電池において変換効率に相関した局所的発電特性の相違を得た。また、Siナノウォール太陽電池において光照射による電流変化を得た。以上より、概ね最終数値目標を達成した。
(2)局所的分光感度特性評価技術の確立
 波長分解能22.8 nmの単色光照射システムを用い測定波長範囲300〜900 nmの局所的分光感度測定を実現した。また、a-Si:H薄膜太陽電池において局所的発電特性の違いに相関した局所的分光感度特性を得、概ね最終数値目標を達成した。
V.評 価
 本開発は、太陽電池の表面起電力特性を、数10 nmオーダーの分解能で計測できる装置開発であり、次世代太陽電池の発電効率の向上、製品歩留まりの向上への貢献が期待された開発課題である。開発は着実に進捗し、当初計画した数値目標は概ね達成した。しかしながら、局所的分光感度特性と巨視的特性との相関、データの安定性、信頼性、カンチレバーの作製法を含めた装置の操作性等、解決すべき課題が残されている。一方、装置の製品化に関しては、現行市販品のオプションとしての検討が進められており機器開発タイプとしての成果は達成されたといえる。ただし上述の指摘事項の解決なくしては広くユーザーの評価は得られないであろう。真の製品化に向け、本事業における開発終了後もチームによる継続した機器開発推進を期待する。以上を踏まえ、本開発は当初の開発目標をほぼ達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する。[A]