資料4

開発課題名「プラズモンセンサを用いた埋もれた界面計測技術の開発」

最先端研究基盤領域 要素技術タイプ

開発実施期間 平成24年10月〜平成28年3月

チームリーダー :  本間 敬之【早稲田大学 理工学術院 教授】
サブリーダー :  三田 正弘【(株)協同インターナショナル 電子部 技術次長】
中核機関 :  早稲田大学
参画機関 :  (株)協同インターナショナル
T.開発の概要
 材料・デバイスの最表面から界面までの分子構造や化学反応を、簡便かつ0.1 nmレベルの極めて高い深さ分解能で計測する手法の開発を目指す。特に他の手法では困難な、固液界面における静的および動的その場観察を0.1 nmの深さ分解能で実現することを目指す。本手法は非常に汎用性に優れ、精密めっきプロセス、蓄電池や燃料電池の電極反応の解析をはじめ、太陽電池、触媒合成、光触媒、各種半導体デバイスなどにおける材料開発や反応プロセス設計の高度化、さらには細胞膜観察などを通じてバイオ分野における医薬品開発にも応用が期待される。
U.開発項目
(1)スペクトル検出感度向上技術の確立
 ナノ粒子形成条件の最適化により現状の2,700倍感度の透過型センサを、またCuナノドットパターンの開発により現状の12倍感度の反射型センサをそれぞれ開発し、最終目標を上回った。
(2)センサの面分解能向上技術の確立
 光の回折限界(300 nm)を大幅に超える100 nmの面分解能を達成するマイクロアレイ型(MLA)方式の透過型センサを開発し、最終目標を達成した。
(3)固液界面測定の実証
 無電解めっき反応系の固液界面において0.1 nmの深さ分解能で0.7 nmの大きさの分子構造計測に成功した。また、Liイオン電池系の固液界面において0.1 nmの深さ分解能で観察することに成功し、最終目標を達成した。
V.評 価
 本課題は、簡便かつ安価に、また高精度かつ非破壊で、界面とその近くの分子状態をその場観察可能な化学分析手法の開発である。プラズモンセンサと表面増強ラマン散乱を応用した透過型・反射型センサを開発し、分解能・感度共に極めて高い技術を確立し、全ての項目で目標を大きく上回った。これまで誰も見たことがない磁気ディスク表面の潤滑膜の構造解明や、固液界面での吸着構造解明、拡散挙動の計測に成功しており、本プログラムならではの成果を得ている。
 今後は、プロトタイプ機を早期に完成させ、いろいろな基礎研究分野のみならずLiイオン二次電池、磁気ディスク等への事業展開の加速を期待したい。
 本開発は当初の開発目標を達成し、それを上回る特筆すべき成果が得られたと評価する[S]。