資料4

開発課題名「PM2.5中酸性度(pH)と化学イオン成分濃度の自動連続測定技術の開発」

(平成26年度採択:環境問題解決領域 要素技術タイプ)

チームリーダー :  田中 茂【慶應義塾大学 理工学部応用化学科 教授】
サブリーダー :  木地 伸雄【(株)インターアクション 専務取締役】
中核機関 :  慶應義塾大学
参画機関 :  (株)インターアクション
T.開発の概要
 PM2.5の生成プロセスと挙動を把握し、その低減対策を進めるには、主要成分である化学イオン成分濃度の測定が必要不可欠であり、さらに人体への健康影響を知るには、PM2.5の酸性度(pH)を測定することも重要な課題である。本課題では、酸化チタンを塗布した平行板型拡散スクラバー(ガス捕集)とミストチェンバー(粒子捕集)などを組合せることで、PM2.5の酸性度(pH)と化学イオン成分濃度を自動連続測定できる技術を開発する。
U.中間評価における評価項目
(1)拡散スクラバーの実用化
 希薄標準ガスの捕集効率は、NH3 98.9 %、NO2 98.0 %、SO2 99.9 %を達成した。また、実大気による粒径3 μm以下の微小粒子の透過率は97.4 %を実現し、中間目標を達成した。
(2)ミストチェンバーの実用化
 実大気による粒径3 μm以下の微少粒子の捕集効率は99.9 %を達成した。また、化学イオン成分の抽出については 実大気によるフィルター法の測定値とほぼ一致した。化学イオン成分の抽出効率の評価法については、今後も継続検討する。
(3)ppbレベルの微量化学イオン成分(アニオン、カチオン)の同時測定の実用化
 微量化学イオン成分の測定は、アニオン(F-、Cl-、NO2-、NO3-、SO42-)、カチオン(Na+、NH4+、K+、Mg2+、Ca2+)すべてサブppb(ng/ml)の検出限界を達成した。また、アニオン、カチオンを精度よく分離し、繰り返し分析精度1 %以内での同時測定を実現しており、中間目標を達成した。
(4)微量PM2.5試料液中pHの測定の実用化
 実大気による微量試料液中のpH測定安定時間は 4分以内を実現し、中間目標を達成した。
V.評 価
 酸化チタンを塗布した平行板型拡散スクラバー(ガス捕集)とミストチェンバー(粒子捕集)を組合せ、人体への健康影響などを知るため、PM2.5の酸性度(pH)と化学イオン成分濃度を自動連続測定できる技術を開発する課題である。開発は順調に進捗し、各開発要素の中間目標はほぼ達成され、PM2.5の分別捕集、微量化学イオン・pH値の分析を、従来より短時間で自動測定可能なプロト機を構築している。
 今後は、大気を用いた実証データの測定・蓄積を重ねて開発システムの性能を評価し、ニーズに合った装置改良を図るとともに、事業化に向けた優位性を確保する知財戦略を構築しつつ、開発を着実に推進すべきである[A]。