資料4

開発課題名「位相敏感高感度X線非破壊検査機器の開発」

(平成25年度採択:最先端研究基盤領域(旧一般領域) 機器開発タイプ)

チームリーダー :  百生 敦【東北大学 多元物質科学研究所 教授】
サブリーダー :  栗林 勝【(株)リガク X線機器事業部 課長】
中核機関 :  東北大学
参画機関 :  (株)リガク
T.開発の概要
 チームリーダーらはこれまで、X線透過格子を用いる高感度X線イメージング技術の開発により、X線が弱吸収物体を透過する際に生じる僅かな屈折をとらえる高感度撮影を可能としてきた。生体軟組織に有効であることを活かして、これを医用画像機器に適用する開発を行ってきたが、さらに高分子を含む材料・デバイスなどの工業生産管理や安心・安全を目的としたX線非破壊検査のため、高速撮影が可能なオンライン検査機器、および、高空間分解能三次元撮影が可能な精密検査機器の実用化開発を行う。
U.中間評価における評価項目
(1)位相敏感X線スキャナ装置・実証機製作
 全体組み立て図および各部設計図が完成し、これに基づく実証用試作機がリガクから東北大学に納品完了した。基本機能として、縞走査数3、コンベアスピード6 mm/s、空間分解能0.2 mm以下、視野50 mm以上を確認し、目標値を達成した。3領域を設けたX線格子による縞走査法については、競合他社の類似技術の特許出願が発見されたため、差別化技術として歪みが避けられないX線格子で精度の高い計測を行う位相計測アルゴリズムを発案し、開発方針を修正した。
(2)X線位相CT装置・プロトタイプ設計
 基本設計図を完成した。これに搭載するX線源については、リガクで独自開発している電磁マグネットレンズを用いたサイズ可変のマイクロフォーカスX線源を採用することで、フォーカスサイズ10μm以下、管電流500μA以上を達成した。
V.評 価
 開発は百生教授らによる先行基礎研究に基づいて進められているため順調に推移していると判断される。製品や検査体の流れ検査もリガクの先行する技術に支えられて実現可能であろう。課題はX線透過回折格子が適切な価格で購入可能か、自作可能か、である。多くの後発メーカーが装置化を目指していることは容易に想像ができる中、最終的には装置価格をどの程度低価格化できるか、あるいは国内外での競争力に打ち勝つ特許戦略を立てられるか、に開発の成否がかかっている。従って、知的財産権取得は引き続き戦略的に進めるべきである[A]。