資料4

開発課題名「小型・安価・普及型高分子膜厚測定装置の開発」

(平成25年度採択:最先端研究基盤領域(旧一般領域) 機器開発タイプ)

チームリーダー :  田中 敬二【九州大学 大学院工学研究院 教授】
サブリーダー :  岩倉 宗弘【九州計測機器(株) 技術部 部長】
中核機関 :  九州大学大学院 工学研究院
参画機関 :  九州計測機器(株)
T.開発の概要
 1 nmから100μm厚みの有機・高分子薄膜の厚さと断面密度分布の変化をミリ秒の時間分解能でリアルタイム計測できる、ポータブルな環境制御型薄膜解析装置を開発する。ナノ・マクロの同時計測、かつ、種々の環境下での時分割計測を実現することで、グリーン分野における材料開発とプロセス制御、例えば、エネルギーデバイス界面反応と物質移動制御への貢献が期待できる。また、細胞膜と内部への反応伝播など、バイオ分野の挙動制御への貢献も期待できる。
U.中間評価における評価項目
(1)1次試作機
 光学系設計において、膜厚100 nmの目標に対し10-1000 nm、深さ分解能10 nmの目標に対し分解能 1 nm(膜厚10-50 nmの場合)、10 nm(100-400 nmの場合)、5-6 nm(400-1000 nmの場合)の目標値を達成した。測定時間も100 msecの目標に対し、100 msec未満(45°〜80°において)で達成した。
駆動・制御系設計においては入射角45°〜 80°の目標に対し、入射角0°〜82°で達成し、筐体設計・製作に関してもサイズ500 mm角程度、重量20 kg程度の目標に対し、1次試作においてサイズ500×500×500 mm、重量20kgで目標値を達成した。今後、環境制御(温度他雰囲気制御)機能を付加するため、さらなる小型化と軽量化が必要である。
(2)測定・制御ソフトウェア
 光学系を走査させる駆動系制御および測定した波形データの取り込みを可能にした。測定時間100 msecの目標に対し、100 msec以内(45°〜80°)で達成した。
(3)解析ソフトウェア
 目標通り、測定データの後処理によるデータマッチングが可能なプログラムを作成した。また、膜厚100 nm(単層膜)の目標に対し10-1000 nmを達成した。深さ分解能10 nmの目標に対し、分解能1 nm(膜厚10-50 nmの場合)、10 nm(100-400 nmの場合)、5-6 nm(400-1000 nmの場合)の目標値を達成した。
V.評 価
 生体あるいは高分子材料の表面、界面の物性(膜厚・屈折率等)変化を容易に測定するSPR装置である。分光法開発の基本は既知であるので、装置の小型化や、性能や感度を維持しながらの低廉価が求められる。本装置は現場や実験室で簡便に使えることが開発の必須条件であり、小型化・簡便化に伴う、機械的及び電気的ノイズを如何に抑えられるかが成功のポイントとなる。実現化は可能と思われるが、ユーザーの本装置への反応を見たい。今後も最終目標へ向けた技術開発を、着実に推進すべきである[A]。