資料4

開発課題名「局所的太陽電池評価用光起電力顕微鏡の開発」

(平成24年度採択:グリーンイノベーション領域・機器開発タイプ)

チームリーダー :  伊藤 貴司【岐阜大学 工学部 准教授】
サブリーダー :  村田 好行【(株)島津製作所 分析計測事業部 グループ長】
中核機関 :  岐阜大学
参画機関 :  (株)島津製作所
T.開発の概要
 使用が容易で迅速な評価が可能な、各種太陽電池の局所的な接合特性(界面特性)や光起電力特性の評価を可能とする評価装置「光起電力顕微鏡」を開発する。また、分光感度特性の局所的評価を可能とする技術開発を行い、その機能向上を図る。本課題により、上記の評価装置が太陽電池開発に携わるユーザーに利用され、高効率化を阻む要因が明らかになることで、高効率太陽電池の実現に貢献することが期待される。
U.中間評価における評価項目
(1)光起電力顕微鏡要素技術の確立
 本装置を構築する5件の要素技術のうち以下の4件を検討した。@照射光強度可変擬似太陽光照射システムの試作に成功した。A電流−電圧特性マッピング評価技術の開発は、表面形状とI-V(電流-電圧)特性を同時計測した。B新規導電性カンチレバーを、各種試作し、白金コート針にジルコニウムを製膜したものがI-V特性等で良好な結果を示した。C特定位置での繰り返し測定が可能なシステム構築においては最小観察視野が2.4μmの範囲まで可能になり、マイルストーン目標は達成したが、最終目標は2桁以上微細の10 nmの範囲を掲げており、引き続き検討している。
(2)局所的分光感度特性評価に関する基盤技術の確立
 分光感度特性評価に必要な基盤技術の一つである波長可変単色光照射システムを試作し、波長可変範囲220〜900nmの単色光照射が可能となった。
V.評 価
 数10nmオーダーの分解能で太陽電池の表面起電力特性を計測できる装置を開発し、量子効果を用いた次世代太陽電池の発電効率の向上、製品歩留まりの向上に資することを想定している。開発は中間評価までのマイルストーンを順調に達成しているが、理想的なカンチレバーの探索、カンチレバーの押え圧によるI-V特性変化・サンプルの損傷等のコンタクト特性、試料台等システムのドリフトによる特定位置測定の再現性など、予測の難しい課題が待ち受けている可能性がある。今後は、ユーザーに必要な情報を適切かつ簡便に提供する装置化をソフトを含めて目指すべきである。また、カンチレバーの安定化の解決と空間分解能の目標達成に向けて、実証的に開発を推進すべきである 。[A]


前のページに戻る