資料4

開発課題名「近接場偏光顕微技術の開発」

(平成24年度採択:一般領域 要素技術タイプ)

チームリーダー :  保坂 純男【群馬大学 大学院工学研究科 教授】
サブリーダー :  三浦 健【(株)ユニソク 研究開発部 主任研究員】
中核機関 :  群馬大学
参画機関 :  (株)ユニソク
T.開発の概要
 10 nm以下の磁区分布計測は、スピン偏極電子顕微鏡で行われているが、試料作製の複雑さ、装置の簡素化などに大きな課題がある。本開発では、新たにプラズモン励起近接場光探針を用いた近接場偏光顕微鏡(SNPM)技術を開発し、簡易装置により10 nm分解能を持つ磁気特性評価手段であることを実証する。
U.中間評価における評価項目
(1)近接場偏光顕微鏡 基本性能確認
 原子間力顕微鏡(AFM)像空間分解能につては、標準試料の磁気ドット観察において、コンタクト方式で15 nm径のドットが観察できた。また、ノンコンタクト方式では、10nm以下の構造が観察できたことから10 nmの空間分解能を達成している。偏光顕微鏡像空間分解能については標準試料の磁気ドット観察では、コンタクト方式において磁気ドットからの反射近接場光の偏光面回転が確認でき、偏光回転ドットとして、20 nm径ドットを観察に成功し、20 nm以下の空間分解能があると判断できた。
(2)磁気特性計測機能確認
 外部磁界印加機能は試作を繰り返し、5 mmから10 mmギャップに1.2 Tの外部磁場発生を可能とした。磁場印加時のAFM像取得については、試料挿入の機構系を製作中である。
(3)微小磁気ドット形成基本技術確立
 電子線描画法による微小磁気ドット形成(ドット径:13 nm)は電子線描画法で少し大きめの磁気ドットを作製し、これをイオンミリング法でオーバーエッチすることにより目標を達成した。自己組織化法による微小磁気ドット形成(ドット径:10 nm)は多層レジスト法を検討中である。
V.評 価
 本開発は、AFM探針からの近接場の偏光が、磁性体中で回転する効果(カー効果)を用いて、10 nm以下の分解能で微小磁区の磁化特性を計測する顕微鏡を開発することを目標としている。開発目標項目であるAFM像や偏光顕微鏡像の空間分解能、外部磁場印加機能や微小磁気ドット形成技術開発において、中間目標を達成している。取得画像のノイズやドリフトが大きいので、今後これらの対策を行い、開発を着実に推進すべきである。[A]


前のページに戻る