資料4

開発課題名「超広帯域コヒーレント赤外分光技術の開発」

(平成24年度採択:一般領域 要素技術タイプ)

チームリーダー :  藤 貴夫【自然科学研究機 構分子科学研究所 准教授】
サブリーダー :  三村 榮紀【ファイバーラボ(株) 代表取締役社長】
中核機関 :  自然科学研究機構 分子科学研究所
参画機関 :  ファイバーラボ(株)
T.開発の概要
 高効率でかつ広帯域な波長変換技術と高繰り返し赤外フェムト秒ファイバーレーザーを組み合わせることによって、テラヘルツから近赤外領域までコヒーレントな赤外光を発生させ、それを光源とした新しいコンセプトの分光システムを構築する。分子振動に敏感な赤外スペクトルをこれまでにないほど高速に取得できるようになり、気体を含めたあらゆる物質の詳細な分析から医療など幅広い分野への応用が期待される。
U.中間評価における評価項目
(1)チタンサファイアレーザーを基本とした中赤外分光システムの構築
 波長変換媒質としてキセノンガスを使用した中赤外分光システムを構築し、単一ショット(積算時間1 ms以下)でのスペクトル計測ができることを確認した。その際の周波数分解能は2 cm-1、観測されたスペクトル幅は200-5500 cm-1であった。
(2)ツリウムファイバー発振器の構築
 ツリウムファイバー発振器を製作し、LD励起によるモード同期を確認した。さらに発生した光パルスを評価した結果、パルス幅は50 fs、強度安定性は1%であることを確認した。
V.評 価
 可視光から波長変換によって作り出した超広帯域コヒーレント赤外光を試料へ照射し、透過した光(または反射光)を波長変換して可視光に戻した上で、可視光用の高感度検出器で計測する新しい赤外分光技術の確立を目的としている。四波混合過程での波長変換効率向上とチタンサファイアレーザーを安価なファイバーレーザーへ置換するという二つの開発目標を設定している。開発の第一歩として、チタンサファイアレーザーを用いた分光システムを構築し赤外光スペクトル計測が出来ることを確認した。ツリウム添加ファイバーレーザーの開発も進め、光パルス発振まで確認しており、開発は順調に進んでいる。今後はファイバーレーザーでの実験を早急に開始し、最終目標へ向けた技術開発を着実に推進すべきである。[A]


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