資料4

開発課題名「CFRPを用いた超軽量精密光学素子の開発」

(平成24年度採択:一般領域 要素技術タイプ)

チームリーダー :  國枝 秀世【名古屋大学 大学院理学研究科 教授(副総長)】
サブリーダー :  浜田 高嘉【玉川エンジニアリング(株) 技術部 部長】
中核機関 :  名古屋大学(大学院理学研究科)
参画機関 :  玉川エンジニアリング(株)、愛媛大学、名古屋大学(複合材工学研究センター)、名古屋大学(素粒子宇宙起源研究機構)
T.開発の概要
 高精度の大型X線望遠鏡は宇宙科学を推進するために必須であるが、その要素技術はいまだに開発途上にある。本開発では、軽量で強度・形状安定性に優れた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)に着目し、超軽量高精度反射鏡に必要な、精密成形技術確立を目指す。本開発により、医療応用可能なX線素子も視野に、波長を問わず大型望遠鏡製作や、安価で高性能の反射鏡を量産することも可能となる。また、CFRP上での皮膜形成は精密金型製作にも応用が期待される。
U.中間評価における評価項目
(1)反射面形成に必要な要素技術の開発
 プリントスルー(金属ミラー表面へのCFRP基板の繊維状模様の浮き出し)を軽減する方策として、CFRP上への金属被覆形成について各種手法を試み、最適化と手法絞込みによって問題解決に近づいた。レプリカ法による鏡面形成技術については、平板レプリカではNiメッキCFRPへ形成した多層膜で表面粗さ0.4 nmを達成した。円筒内面レプリカでは各種形状のガラス母型で試作を行い、ガラス母型と工程の最適化を進めた
(2)円筒CFRP 反射鏡の製作と評価
 薄板CFRP形成技術については、200 mm径の円筒において形状精度として2 μm〜10μmを達成した。作製した円筒CFRP 反射鏡について、硬X線照射による集光評価実験を行い、HPWとして3分角(arcmin)の結像性能を確認した。
(3)実用化に向けた取り組み
 品質保証については、CFRP平板及び円筒製作レベルでは製作工程をほぼ確立し、品質保証を評価できる段階に入った。また、円筒CFRPの端面加工については、要求精度(+0/-1 mm)を満足する方法を確立した。
V.評 価
 本課題では、人工衛星搭載用X線望遠鏡のための円筒集光ミラーの軽量化を目的とし、現行のアルミ基板に変わるCFRP基板を用いたX線集光ミラーの開発を目的としている。プリントスルー軽減や形状精度向上のために、金属被覆やレプリカ工程などに多様な方法を幅広く試み、その中から最適手法を絞り込みつつあるが、中間目標到達には若干の遅れがある。未達成目標については早急な達成を目指すとともに、今後はより効率的・効果的に開発を推進すべきである。 [B]


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