資料4

開発課題名「微粒子光検出によるエキソソーム高精度定量技術の開発」

(平成24年度採択:一般領域 要素技術タイプ)

チームリーダー :  糸長 誠【(株)JVCケンウッド 技術戦略部 シニアスペシャリスト】
中核機関 :  (株)JVCケンウッド
参画機関 :  慶應義塾大学
T.開発の概要
 疾患の種類あるいは状態に応じて体液中における分泌量が変化するエキソソームを高感度・高精度に定量計測する技術を開発する。エキソソームを粒子径 200 nmの機能性(磁気)微粒子によって標識化し、エキソソームの選択的な捕捉が可能な微細構造を持つ機能性光ディスク上において、高速光ピックアップ走査によって1粒子単位で機能性微粒子を計数し、エキソソームの高精度定量を目指す。
U.中間評価における評価項目
(1)光ディスク基板の確立
 スカラ回折モデルやベクトル回折モデルの光学シミュレーション等による最適化を図り、微粒子検出信号の変調度79 %を確保した機能性光ディスク基板を開発し、数値目標を上回った。
(2)エキソソームを標識化できる機能性(磁気)微粒子の開発
 エキソソームを標識化できる磁気微粒子を開発した。また、機能性微粒子 1粒子当たり780個(分子 20 μg)の抗PSA抗体を固定化することを実現し、数値目標を達成した。更に、1粒子当たり1,200個以上(分子 50 μg)の抗エキソソーム抗体を固定化することを実現し、最終の数値目標をほぼ達成した。
(3)定量測定技術の開発
 自動分注・洗浄評価機、着脱式ウェル、検出回路等を作製し、ELISA法を参考に計測プロトコルを最適化した。PSAの検出限界は、0.16 ng/mlと数値目標を上回り、また微粒子計数とPSA濃度の間には相関係数R2=0.98の直線性があり数値目標を達成した。
V.評 価
 機能性微粒子で標識した抗体を利用するサンドイッチ法でエキソソームを光ディスク上に捕集し、体液中エキソソームを計数する技術の開発である。開発は順調に進んでおり、PSA(Prostate Specific Antigen)と抗PSA抗体を用いて原理を実証するなど、中間評価時点の目標は全て達成している。更に、精製エキソソーム計数の予備実験も実施し ある程度の計数結果を得ている。
 今後は、医療現場での体液試料を用いた試験を行うにあたり、関連機関との連携を密にして非特異的吸着や計数データの医学的評価の課題を解決し、早期の実用化に向けた開発を着実に推進すべきである。[A]


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