資料4

開発課題名「超音波速度変化を利用した内臓脂肪診断装置の開発」

(平成24年度採択:一般領域 機器開発タイプ)

チームリーダー :  堀中 博道【大阪府立大学 大学院工学研究科 教授】
サブリーダー :  川口 康【(株)アドバンテスト 新企画商品開発室STeLS pj プロジェクトリーダー】
中核機関 :  大阪府立大学
参画機関 :  (株)アドバンテスト、大阪市立大学
T.開発の概要
 超音波速度の温度変化を利用するという全く新しい原理を用いた非侵襲内臓脂肪分布測定診断装置を開発する。現行の超音波画像装置を利用・改良して、リアルタイムで速度変化を検出し、肝臓の脂肪分布を画像化して、その脂肪量を定量化できる装置を目指す。本装置は短時間で非侵襲かつ、安価に複数回実施可能な検査法であることから、実地臨床だけでなく、健康診断にも利用可能で、生活習慣病の早期発見・予防・治療判定に役立つことが期待される。
U.中間評価における評価項目
(1)プロトタイプ1号機の製作
 小型超音波画像装置、PXI信号処理システム、高周波パワーアンプ、マルチアレイトランスデューサ、加温用超音波トランスデューサ、ディスプレイ、キーボードで構成。装置仕様として超音波送受信部:送信波形 8周期、中心周波数 7.5 MHz、画像 128 ch、フレームレート 17 fps、 信号処理:サンプリングレート 100 MS/s、AD変換 10 bit、動画モードで連続記録、データ取得、加温制御、移動補償、超音波速度変化画像構築、表示をLabVIEWプログラムで実行した。PXIシステムのファンクションジェネレータの出力を高周波パワーアンプ(10 MHz、50 VA)で増幅し、加温用トランスデューサを駆動する。PXIシステムのファンクションジェネレータの出力電圧をLabVIEWプログラムで設定できるので、加温電圧を数値目標よりも細かく設定できた。
(2)プロトタイプ2号機の製作
 128 chリニアアレイプローブを試作し、パルサーICで加温のための連続波駆動できることを確認した。ボードに画像取得用と加温用の2種類の電源を切り替える回路を実装している。 回路設計についてはボード設計が完了し、試作ボードを製作して評価を進めている。ボードにはビームフォーミング、フェイズドアレイ、加温制御の機能を実装し、USB 3.0による高速データ転送も実現している。
V.評 価
 プロトタイプ1号機でのファントム評価では、脂肪率が高感度にできることを検証したが、プロトタイプ2号機でのパルスシーケンスの自由度などがどのように機能するかは明確ではない。開発装置の性能仕様と主要パラメータの定量化を明確にして進める必要がある。なお、集団検診に採用されるためのマイルストーンを作成し、本開発の独自性である超音波による加熱については特許出願を行い、権利化し本開発の優位性を確保することが必要である。今後も開発を着実に推進すべきである。[A]


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