資料4

開発課題名「超高感度・超高分解能パッシブ型THz近接場顕微鏡の開発」

(平成24年度採択:一般領域 機器開発タイプ)

チームリーダー :  梶原 優介【東京大学 生産技術研究所 講師】
サブリーダー :  河村 賢一【(株)東京インスツルメンツ 商品開発室 室長】
中核機関 :  東京大学
参画機関 :  (株)東京インスツルメンツ
T.開発の概要
 チームリーダーらは、単一光子レベルの感度を持つテラヘルツ(THz) 検出器(CSIP)を世界で初めて開発した。さらに、CSIPを導入した近接場顕微鏡を構築し、外部照射を使用せず(パッシブに)常温物質が発するテラヘルツ波を検出し、平衡状態にある格子や分子、さらに電子の運動状態をナノスケールで直接観察することに世界で初めて成功した。本課題では、要素技術であるCSIP検出器および近接場顕微鏡の性能を大幅に発展させ、数値シミュレーションでしか示すことができなかった物質や分子のダイナミクスを直接観察できる、究極のテラヘルツ近接場顕微鏡の実現を目指す。
U.中間評価における評価項目
(1)CSIP 搭載型顕微ユニットの構築
 光学系については、カセグレン型レンズを用いた反射型光学系により光学系全体の透過率90 %以上を達成した。CSIPの位置決め機構については、真空かつ低温下(4.5K)で動作する3軸PZTステージの導入により、ストロ−ク±1 mm、分解能500 nmの性能を達成した。
(2)THz 共焦点光学系の機能評価終了
 共焦点光学系を製作し、空間分解能25 μm、雑音レベル0.15 %の性能を確認した。
(3)新規フォーカス法の開発
 金属探針の位置決めについて、試料上の蒸着パターンを利用しない新規フォーカス法の基礎的検証を完了した。
V.評 価
 本課題は、THz領域でのフォトンカウンティングが可能な高感度検出器(CSIP)を用いて、物質表面から自発放出されるTHz波を、AFM探針をスキャンしながら検出する顕微鏡の開発である。CSIPの高感度化と広帯域化、光学系の透過率や分解能の向上、機械式冷凍機と焦点合わせ機構の使いやすさの改善など数多くの開発項目について、それぞれ着実な成果を挙げ、中間目標値をほぼ達成している。今後は、応用展開における用途を見据えた上で、実証的に開発を進め、最終目標へ向けて技術開発を着実に推進すべきである。[A]


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