資料4

開発課題名「親指サイズの超小型赤外分光断層イメージング装置の開発」

(平成24年度採択:一般領域 機器開発タイプ)

チームリーダー :  石丸 伊知郎【香川大学 工学部知能機械システム工学科 教授】
サブリーダー :  林 宏樹【アオイ電子(株) 第3技術部 主査】
中核機関 :  香川大学
参画機関 :  アオイ電子(株)、香川県産業技術センター
T.開発の概要
 本事業「要素技術タイプ」の開発で得られた成果をもとに、人に優しい光を用いた、日常生活空間での疾患病態モニタリング装置を開発する。これは、世界初の親指サイズの超小型赤外分光断層イメージング技術による、生体組織の形態と成分の同時計測装置となる。これにより、家庭内で使用する無侵襲血糖値センサーや、身近なクリニックで受診できる眼底カメラによる網膜変性症の検査装置の実現が期待されるとともに、軟性内視鏡に搭載した胃がんの浸潤度測定技術などの開発も期待される。
U.中間評価における評価項目
(1)親指サイズの超小型分光断層イメージングによる生体成分の定量化
1-1)透過型ロータリー相対位相シフターによる2次元分光イメージング
 くさびガラスと平面ガラスにより平行光束の波面を2分割する透過型相対傾斜位相シフターにより構成した空間的位相シフト干渉光学系を構築し、単色光の余弦波状の干渉強度分布のインターフェログラムが良好に観測され、原理確認ができた。2次元分光断層イメージングユニット用に、モーター融合超小型ロータリーヘッドの試作を行っている。
1-2) 分光断層イメージングによる生体成分の高精度定量化
 白色光源から半値幅14 nmの狭帯域光の抽出を行い、2次元アレイデバイスであるCCDカメラにより、位相シフトに伴う余弦波状の干渉強度変化が取得しこれをフーリエ変換することで、狭帯域光の特徴である輝線スペクトルを良好に確認している。
(2)医用計測分野での有用性検証(無侵襲血糖値センサー)
 液体セル内のグルコース溶液を用いた精度評価実験を行っている。小さな液体セルを用い場合、温度の不安定性が精度劣化の要因となるため、窒素パージが可能である閉じた計測環境、ペルチェ素子による温度制御可能な定量評価装置を構築している。ワンショット方式の位相シフト干渉法により、高い精度でグルコース濃度を計測することができている。
V.評 価
 小指大の装置を試作し、可視領域での分光と画像取得、および1000nmの位相補償の検証が進んでおり、別途、温度制御した溶液セルの透過測定で、赤外域でのグルコース濃度の良好な再現性および定量精度の向上への条件検討が進んでいる。  総合的にみて、機器開発は計画通り順調な進捗と認められる。要素技術タイプでの成果をもとに、多くの分野のユーザーとの接触を進めており、実用化に向けた取り組みを積極的に進めていることも評価できる。今後、小型光源の検討を積極的に進め、開発を着実に推進すべきである 。[A]


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