資料4

開発課題名「検出系冷却型−固体高分解能NMRプローブの実用化開発」

一般領域 実証・実用化タイプ

開発実施期間 平成22年10月〜平成25年3月

チームリーダー :  水野 敬【(株)JEOL RESONANCE 技術部開発グループ第2チーム 研究員】
サブリーダー :  武腰 清乃理【京都大学 大学院理学研究科 教授】
中核機関 :  (株)JEOL RESONANCE
参画機関 :  京都大学
T.開発の概要
 非晶質固体においても局所構造解析が可能な固体核磁気共鳴(NMR)法は、これまで、膜タンパクなど長距離秩序を持たない生体高分子の局所構造研究に適用され、多大な成果をあげており、リチウム電池に含まれる正極材料やナノ材料など、他の手法では局所構造解析が困難な無機非晶材料法への適応が希求されている。本開発では、無機固体への適用を難しくしているNMRの低感度問題を克服することを可能にしたクライオコイルMASプローブの実用化開発を行う。
U.開発項目
(1)クライオコイルMAS用試料回転機構の開発
 専用 4mm試料管(コイルおよび真空隔壁の挿入分を加味した長尺を25%拡大した設計)および専用回転機構(クライオコイルMASプローブ本体との機械的な干渉を避けた設計)を製作し、クライオコイルMASプローブ実験試作機に搭載し、当初目標を上回る値(18kHz以上:従来の同社製品と同等の回転速度)を達成している。
(2)クライオコイルMAS二重共鳴検出系の確立
 クライオコイルMASプローブ実験試作機において、「1H-13C 二重共鳴回路の基本性能」「コイル温度」「13Cプリアンプ雑音温度」については当初目標を上回る値(たとえば13CプローブQ値:450, コイル温度:13.8K, 13Cプリアンプ雑音温度:12K など)を達成していることを確認した。
(3)冷凍機の導入
 当初目標に該当する冷凍機(住友重機械工業製GM冷凍機415Kタイプ(温度4Kにおいて1.5Wの冷却能力))を利用したヘリウムガス冷却循環システムを製作している。当該システムをクライオコイルMASプローブ実験試作機に適用した場合、上述の温度性能を発揮することを確認しており、室温から安定低温下にするまでに要する起動時間は4〜6時間と実用的には十分な性能を確認している。
V.評 価
 リチウム等の無機固体を対象とした高感度のクライオコイルMASプローブの実用化開発である。開発は順調に進捗し、独自冷却機構を備えたプローブ開発による感度向上の実用化の目標は、ほぼ達成している。Hデカップリング機能については、放電などの技術課題の改善が遅れているが、現状のままでプローブの上市に向けたモニターテストに入るなど実用化へのステップは遅滞なく進められている。本開発は当初の開発目標を達成し、本事業に相応しい成果を得られたと評価する[A]。


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