資料4

開発課題名「世界標準をめざした光学的二酸化炭素自動測器の実用化開発」

一般領域 実証・実用化タイプ

開発実施期間 平成22年10月〜平成25年3月

チームリーダー :  柴田 耕志【明星電気(株) 技術開発本部 取締役本部長】
サブリーダー :  川崎 昌博【人間文化研究機構 総合地球環境学研究所 客員教授】
中核機関 :  明星電気(株)
参画機関 :  名古屋大学
T.開発の概要
 温室効果ガスのモニタリングは大気のサンプリング・非分散型の赤外吸収測定という化学的な分析であり、システムは複雑で標準ガスやその輸送コストは大きくなる。そのため発展途上国や輸送体制の整わない場所での観測が実現できていない。本測定装置は太陽光を光ファイバーで干渉計に導入し、その信号から大気中の二酸化炭素濃度を測定するという物理的な測定であり、低価格で、標準ガスを必要としないという特徴を持つ。この測器を商品化できれば、観測網を飛躍的に拡充し、温暖化問題の議論に大きく貢献することが期待される。
U.開発項目
(1)本体主要部の開発
 測定精度は自社(伊勢崎)で計測したCO2濃度が1σで0.82ppmであり目標を達成している。測定時間についても、エタロンの加熱、冷却およびバックグランドを60秒で切り替え、濃度算出を60秒毎に可能とし目標を達成。低雑音光検出器、サントラカー用太陽追尾センサも開発目標値を達成している。開発装置は、標準屋内機器が345(W)×450(W)×445(D)、サントラッカーのペイロード重量を0.7kgとなっており目標を達成しっている。
(2)信号処理部の開発
 太陽追尾架台とのインターフェースはA/D分解能を24bitのとし開発目標を達成、一般電話回線用モデルによる通信インターフェースを確立し、上位サーバとの通信(有線)プロトコルを組み込むことで当初目標を達成した。
(3)稼動と価格等
 集光窓の汚れを除く以外の部分の連続稼働期間は自社ビル屋上に設置した装置で1年以上の運用実績がある。価格は500万円を予定しており、消費電力:標準機器の消費電力も約90Wとし開発目標を達成した。
V.評 価
 固定点における温室効果ガスをモニタリングする高性能かつ低価格の装置開発を目標としている。開発は順調に進捗し、全ての目標値を達成した。長期にわたり外国を含む複数箇所での比較観測を経て、不具合などの洗い出しを行い、改善の目処が得られている。関連する国際学会、研究機関に向け、利用促進のための活発な活動がなされており、販売戦略も確実に設定されていることは特筆に値する。今後、装置の実用化を進めるとともに、可能な限り特許を取得した上で、装置の国際標準化が進むことを強く期待する。本開発は当初の開発目標を達成し、それを上回る特筆すべき成果が得られたと評価する[S]。


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