資料4

開発課題名「生物発光リアルタイム測定解析ソフトウェアの開発」

一般領域 ソフトウェア開発タイプ

開発実施期間 平成21年10月〜平成25年3月

チームリーダー :  白木 央【中立電機(株) 技監】
サブリーダー :  石浦 正寛【名古屋大学 遺伝子実験施設 研究員、名古屋大学 名誉教授】
中核機関 :  中立電機(株)
参画機関 :  名古屋大学、中部大学、(株)コーネット
T.開発の概要
 これまでに開発してきた「生物発光リアルタイム測定法」は、遺伝子発現を生物発光として生きたままの細胞で連続的に自動測定する強力な生命科学の研究手法であり、遺伝子発現を極めて高い感度・精度・時間分解能で詳細にリアルタイム解析することを可能にする。本課題では、「生物発光リアルタイム測定解析ソフトウェア」を開発し、開発中の「生物発光リアルタイム測定装置」に搭載して本測定法をさまざまな目的に適用できるように汎用化することにより、「世界最強の遺伝子発現リアルタイム測定解析統合システム」を実現する。
U.開発項目
(1)全体構想設計
 開発当初の1年間で全体構想を入念に検討し、要求分析および基本仕様、詳細仕様を作成した。また、最も効率よく開発するために、開発順序も検討し直し、「高感度生物発光測定および解析システム」を最優先で先行開発しβ版を作成して、市販直後の測定装置に搭載、ユーザーからの要望等を把握し、ユーザビリティ向上に努めた。次いで、大型測定装置の「ハイスループット生物発光測定および解析システム」を上述のβ版に準じて開発し、同時にβ版のブラッシュアップを図ることができ目標を達成した。
(2)生物発光測定システムの開発
 生物発光測定システムを大きく2つに分け、サンプルの搬送制御サブシステム、および測光定量サブシステムを並行して開発を進めた。先行開発の「高感度生物発光測定および解析システム」用のβ版は平成22年度に作成終了し、その後順次機能アップを重ねた。これを基に「ハイスループット生物発光測定および解析システム」用は平成23年度までに作成し機能アップを重ねて、最終的に目標であるシステムの実用化に至った。
(3)生物発光解析システムの開発
 生物発光解析システムは、時系列データ解析サブシステム、および共通で利用できるデータ解析パッケージに分けて開発した。データ解析パッケージはプラグイン化できるようにし、大きく3つに分けた。3つのデータ解析パッケージのうち、数値解析処理、およびリズム解析処理は、生物発光測定システムとほぼ同時期に並行して開発した。3つ目のクラスタリング処理(Fuzzy Art)は開発がやや遅れていたものの、最終年度で完了し、目標を達成した。
V.評 価
 本プログラム「機器開発タイプ」において開発した、生物発光現象を今までにない超高感度で定量可能、リアルタイムで連続測定できる装置のユーザビリティを高め、実用化するための測定制御系、およびデータ処理・解析系のソフトウェア開発である。すべての開発目標を達成し、市販した装置には開発したソフトウェアを搭載し、さらなる機能およびユーザビリティの向上を図っている。本装置だけでなく、ソフトウェア単体でも市販実績を上げていることは特筆に値する。また、展示会への出品や、学会におけるデモンストレーション等により本装置で用いられている分析手法の普及・促進を進めている点も評価したい。ただし、開発したソフトウェアのオープンソース化に対する取り組みについて今後対応の必要があると思われる。本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。


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