資料4

開発課題名「ウイルス感染感受性およびワクチン接種必要性診断技術の開発」

一般領域 要素技術タイプ

開発実施期間 平成21年10月〜平成25年3月

チームリーダー :  木戸 博【徳島大学 疾患酵素学研究センター 教授】
中核機関 :  徳島大学
参画機関 :  なし
T.開発の概要
 感染予防対策において、社会を感染から守るには感染リスクの高い人を予め診断して優先的にワクチン接種する必要がある。ウイルスが最初に感染する鼻腔や気道の抗ウイルスIgA抗体量が、個人の感染感受性を判定する最も良い指標であることをコホート研究から初めて明らかにした。本開発では、鼻汁と血液の極微量検体で感染リスクを迅速に診断し、ワクチン接種の必要度を診断するハイスループット汎用型アレイを開発する。
U.開発項目
(1)ウイルス抗原のDLCチップ搭載最適条件_確立
 各抗原の最適条件を選定し、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)チップへの安定固定化法を確立した。固定化量は、10-33fmol達成し、充分な検出感度と定量性を確保し、最終目標を達成した。
 また、緑色蛍光色素を使用することで、S/N比65を達成し、最終目標を達成した。
(2)ボランティア(血液、鼻汁)による、各種抗体価_測定
 ワクチン接種者、インフルエンザ感染者、麻疹・風疹・水痘・ムンプスウィルス感染者の血液と鼻汁の抗体価を、ELISAとDLCチップで検討した結果、DLCチップの結果はELISA法と相関し、ほぼ目標を達成できた。
(3)感染リスク評価基準の確立
 ボランティアで測定した血液と鼻汁の抗体価と感染防御能との関係を検討した結果、血液中の抗体価9.3±6.6が50%感染抑制防御能のHI価40に相当し、鼻汁中のIgA抗体価5.9±6.8が中和活性 ≥ 40を示し、最終目標を達成した。
V.評 価
 鼻汁中IgA濃度はインフルエンザの感染リスクの指標、血清中IgG濃度はむしろ重篤化リスクの指標という興味深い発見に基づくワクチン注射優先順位決定用マススクリーニングに向けた要素技術開発である。各抗原のDLCチップ_固定化法を確立し、充分な検出感度と定量性を確保し最終目標を達成した。更に、インフルエンザ、麻疹・風疹・水痘・ムンプスウィルス感染者の鼻汁・血液の測定抗体価はELISA法と相関し、ほぼ最終目標を達成できた。また、抗体価と感染防御能との関係を検討し、感染リスク診断評価基準を示唆する抗体価も得て、今後幅広い展開を検討できる技術となっている。今後の実用化に向けた取り組みが望まれる。本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。


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