資料4

開発課題名「アルミナ基プロトン導電体を用いた溶融金属用水素センサの開発」

一般領域 機器開発タイプ

開発実施期間 平成22年10月〜平成25年3月

チームリーダー :  武津 典彦【名古屋工業大学 おもひ領域 プロジェクト教授】
サブリーダー :  大島 智子【(株)TYK 機能材料研究所 主任研究員】
中核機関 :  名古屋工業大学
参画機関 :  (株)TYK
T.開発の概要
 金属素材製造プロセスでは溶融時に水素が溶解し製品欠陥の発生や材料特性の劣化を招き、そのモニタリングは重要である。最近開発したアルミナ基プロトン導電性固体電解質を用いて濃淡電池を構成する方法で1,300℃付近の高温金属融体中の水素量を連続的にその場測定するための産業用センサプローブおよびセンシングシステムの開発を目指す。本センサは現状ではこのような高温の金属融体中水素量を連続的にその場測定することができる唯一のデバイスであり、大量に製造される基盤工業材料の品質を強化し、製造過程での省エネルギー、CO2削減を達成するうえで強力な武器となることが期待される。
U.開発項目
(1)連続測定型計測システムの開発
連続測定型計測装置の演算・表示機については設計図が完成した。試作機は現場試験に用いられ、発注により量産が可能な状況に達した。連続測定型センサプローブについては、さらなる品質管理が必要であるが、期間内に設計図が完成し、組み立て手順書に従って量産が可能な状態にまで仕上げた。システム性能としては温度、測定範囲、分析精度において設定目標を達成した。センサ寿命については借用したプラントの操業条件の関係で最長連続23時間の試験を行い、目立った性能低下は認められなかった。
(2)消耗型計測システムの開発
消耗型計測装置の演算・表示機については連続測定型計測装置の演算・表示機にその機能を付加し、これを兼用することにした。設計図は完成し、試作機が現場試験に用いられており、発注により量産が可能な状況にある。消耗型センサプローブの設計図・組み立て手順書は一応完成した。システムは作業員一人で自由なハンドリングが可能である。また、出力信号の応答時間自体は温度の到達に追随することが確認された。なお、組み立て技術をより向上させることで、検出成功率を向上させることが可能である。
V.評 価
 溶融金属、特に銅の中に熔存する水素の濃度を1,150℃付近で連続的(設置型)に,あるいはピンポイント的(消耗型)に測定するセンサ並びに計測システムを,関連企業の協力のもと現場試験も行いほぼ目標通りに開発した。本センサプローブの現場試験については、実際に操業している現場でのさらなる試験が必要であるが、今後は関連企業の協力を得て、実データの取得を継続するとともに、組立技術をより向上させ、検出率を上げることを期待したい。本課題は当初の開発目標を達成し、本事業に相応しい成果を得られたと評価する[A]。


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