資料4

開発課題名「3次元電子顕微鏡のための画像処理プラットフォームの開発」

(平成23年度採択:ソフトウェア開発タイプ【プラットフォーム開発】)

チームリーダー :  安永 卓生【九州工業大学大学院 情報工学研究院 教授】
サブリーダー : 大野 国弘【(株)なうデータ研究所 代表取締役】
中核機関 :  九州工業大学
参画機関 :  (株)なうデータ研究所
T.開発の概要
 3次元電子顕微鏡法のための画像処理プラットフォームの構築を実装する。昨今、電子線トモグラフィー法などの3次元電子顕微鏡制御ソフトウェアにとって、画像処理技術が必須の技術となっている。そこで、個々の電子顕微鏡制御ソフトウェアから、本プラットフォームで提供する画像処理API、およびネットワーク越しの画像処理依頼を実施できるものとし、制御ソフトウェアの共通化を行う。
U.中間評価における評価項目
(1)電子顕微鏡API及びスクリプトレベルを統合化するための仕様の確定
 本プラットフォームの普及を念頭にこれまで開発してきたEosコマンドのドキュメント化を実施し、公開した。ドキュメント化したコマンド数は25%に当たる100件を終了。APIに関してもEos上で利用可能なものを100件ドキュメント化して公開した。また、全体のプロセスを効率的に運用するためにプロセス定義書(開発コード:PIONE) に基づき、クラウド環境、入出力ファイルに対応したシステムを構築した。
(2)アプリケーションの実装例の提供(CTF補正)
 入力画像からCTF補正に至るプロセスに関する基本仕様書、詳細仕様書は完成している。他に画像処理に関するアプリケーションの実装として、2次元構造分類、単粒子3次元再構成、ランダムコニカル傾斜による3次元構造解析、トモグラフィーをEosコマンドで完成した。
V.評 価
 本事業の「ソフトウェア開発タイプ」で調査研究を行った「電子顕微鏡のための画像処理サーバの構築をめざしたプラットフォーム」の本格的な開発であり、現時点で電子顕微鏡画像をオープンで共通的に処理・解析できるソフトウェアプラットフォーム構築の開発課題を既に抽出している。開発は順調に進捗しており、主要な目標も達成していると言えるが、統合化のためのプロセス定義に関しては、プロダクションシステム、タプル空間(LINDA)、マルチエージェント等多数の枠組みを組み込んでおり、システムの複雑化が懸念される。したがって、本ソフトウェアプラットフォームを利用する対象である計測装置開発者、アプリケーション開発者、利用者毎に想定される提供するインターフェイスの定義(階層化)が必要であろう。また、高速化、並列化のためにGPGPUの利用、マルチコア化を挙げているが、具体的な高速化の目標を上げ、どこにボトルネックがあるか明らかにすべきである。普及方法に関しては、学会でワークショップを開催してユーザーを増やしつつあるが、ハードメーカーもユーザーとして巻き込みながら、開発を着実に推進すべきである[A]。
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