資料4

開発課題名「大型構造物を高速に透視するための原子核乾板要素技術の開発」

(平成23年度採択:要素技術タイプ)

チームリーダー :  中村 光廣【名古屋大学 素粒子宇宙起源研究機構 現象解析研究センター 室長・准教授】
中核機関 :  名古屋大学
参画機関 : 
T.開発の概要
 宇宙線を用いて大型構造物を高速に透視するための原子核乾板要素技術の開発を行う。具体的には、毎時1平方メートルを読み取れる超高速原子核乾板読み取り技術と、目的に最適な原子核乾板の製造技術を開発する。これにより、直接観測が難しい火山、熔鉱炉などの大型構造物の3次元内部構造が1日程度の短時間で調査可能となり、原子炉内部状態の透視などにも応用が期待される。
U.中間評価における評価項目
(1)読み取り装置開発
 組上げたXYステージにおいて、5mmステップで13Hzでの駆動と画像取得時揺動0.2μm以下を達成。飛跡認識については1カメラ12視野並列取得を実現し、毎秒200Frame/視野の取得速度を達成した。総合的な読み取り速度として毎秒0.1m2駆動を確認した。
(2)原子核乾板技術
 乾板用乳剤の最適化を行い、実地使用時の平均性能を評価した結果、Grain Densityとして100μmあたり50〜60個、雑音として1,000μm3あたり3〜4個を達成した。フィルム化については、膜厚40μmでの膜厚ばらつき2μm(σ)を達成した。
(3)総合評価(実地試験)
 気球高度の宇宙線による評価において検出効率90%以上を達成した。また、試験原子炉(常陽)の透視映像を取得し、炉心の影を捉えていることを確認した。
V.評 価
 大型構造物を透過する宇宙線を原子核乾板上の飛跡として捕らえ、それらを高速に読み取ることによって、大型構造物を透視する技術の開発を行っている。高感度乾板の製作技術と超高速全自動飛跡読み取り装置開発の両面において、着実かつ優れた成果を上げており目標を全て達成した。応用の一つとして、福島での原子炉内透視への適用についても検討して頂きたい。今後は、知的財産権の確保、乾板製造についての企業との連携、本技術の応用分野開拓などを視野に入れつつ、最終目標へ向けて技術開発を着実に推進すべきである[A]。


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